5月9日に告示される静岡県知事選に向け、2日夜は立候補予定者3人による初めての公開討論会が開かれました。リニア中央新幹線から人口減少まで、県政の課題について白熱した議論が展開されています。
立候補表明の理由は?
初めて行われた知事選の公開討論会。
参加したのは大村慎一 氏、鈴木康友 氏、森大介 氏の3人です。
まずは、それぞれが立候補表明の理由を挙げました。
元副知事・大村慎一 氏:
フェアでバランスが良くクリーンな県政。身命を賭して、この県政に臨みたいと思っております
前浜松市長・鈴木康友 氏:
約25年間、政治行政の現場で働いてまいりました。即戦力として必ず県民の皆様のご期待に応えていきたい
共産党県委員長・森大介 氏:
リニアの問題と浜岡原発、これは避けては通れない。県政の大きな転換、舵を切る。そうした知事になりたい
鈴木氏「企業誘致で産業振興」
公開討論会の最初のテーマは「静岡のビジョン」について。
静岡の未来のために何が重要なのか…それぞれの考え方の違いが現れます。
鈴木氏が力を込めたのは魅力のある雇用の場をつくる産業振興です。浜松市長時代に300社以上を誘致した実績をアピールします。
鈴木康友 氏:
中でも企業誘致、これに重点的に取り組んでいきたい。もっともっと企業を集積させていく。それぞれの地域にあった企業を是非これまでの経験を活かして誘致して、若者の定着できる豊かな雇用を生んでいきたい
大村氏「防災が重要 インフラを国に要望」
一方の大村氏は「強く暖かで元気な静岡を取り戻したい」とした上で、「能登半島地震など大きな地震が起きる中、まずは防災が重要」と訴えます。
大村慎一 氏:
(国の防災対策の重点が)他の県、もっと西の方の県に重点がシフトしています。もう1回、静岡県のハード・ソフト、こういった防災をしっかり高めていかなければなりません。まずトップが先頭になって必要なインフラについて国に要望していく。これが必要です
森氏「原発廃炉と中小事業者支援」
森氏は「命と暮らしが最優先」として、リニア計画の中止や浜岡原発の廃炉、最低賃金の引き上げを訴えます。
森大介 氏:
浜岡原発は一刻も早く廃炉にしなければならないと考えております。既存の中小・小規模事業者、こうした方々の支援・振興をして働き口を確保して増やすこと、そして最低賃金の引き上げがカギだと思っています
子育て支援策は?
また、人口の減少が続く中、子育て支援策についても取り上げられました。
大村氏は「県庁の縦割りを解消して一体的に支援を進める新たな組織を立ち上げる」ことを主張。
鈴木氏は「切れ目のない子育て支援の重要性」を指摘し「少人数学級の導入を全県に展開すること」を主張。
森氏は「18歳以下の医療費や小中学校の学校給食の無償化」などを訴えました。
リニアで“熱くバチバチ”な論戦
そして、最後のテーマはリニア問題です。
推進の立場をとる大村氏が「1年以内に結果を出す」と誓うと、鈴木氏は「具体的な解決策を詰める段階」との姿勢を示し、建設反対を訴える森氏は「ニーズそのものが薄れている。思考停止してはいけない」と訴えました。
県政最大の課題・リニア新幹線をめぐり候補者の間で質問が飛び交います。
森氏:
大都市は栄えるかもしれないけど、他の地域は衰退が進むという懸念があります。その点にどのようにお考えになっているか?
大村氏:
(新幹線の増便など)静岡県にも立地的なメリットがあることが想像はつきます。利便性が高まれば、中山間地に逆に住みながら東京に通うこともできるかもしれません。リニアは使い方だと思っています
鈴木氏:
リニアを止めちゃうと、このリニアを前提とした街づくりってどうなっちゃうのか、どう考えたらいいのか?
森氏:
この事業そのものが様々な問題を抱えているということを主張していくことが大事だと思っております。新幹線の本数を増やすということも言われたが、その他にどういったメリットがあるとお考えになっているのか?
鈴木氏:
例えば東海道新幹線が機能停止になった時にリニアがあることによって交通が守られると。(リニアは)すごい技術ですよね。世界に発信していけるのもメリットだと思います
1時間半ほどに及んだ討論会。参加した市民はどう感じたのでしょうか?
有権者:
静岡県が豊かになることが我々の願いだと思うので、そういう意味でも具体的なことを聞けたと思います
有権者:
(立候補予定者が)熱くてバチバチしている。(論戦に)こうやって返すのもアリなのかなって勉強になりました
討論会に参加した3人のリニア建設への考え方をまとめました。
推進の立場の大村氏は「1年以内に結果を出す」、同じく推進の鈴木氏は「具体的な解決策を詰める段階」、一方、建設反対の森氏は「ニーズが薄れている」と主張しています。
このほか、知事選には諸派の横山正文 氏も立候補を表明しています。
知事選は5月9日に告示され、26日に投票が行われます。
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