南米などを歴訪中の岸田首相は日本時間5日未明、ブラジルのサンパウロ大学で、日本の中南米政策に関するスピーチを行った。この中で岸田首相は、「道のり」をキーワードに日本と中南米の新たなパートナーシップを強調し、中国による途上国への経済的威圧を念頭に「力や威圧ではない信頼に基づく経済関係こそが公正な豊かさにつながる」とアピールした。
日本の首相が中南米政策スピーチを行うのは、2014年の安倍首相以来10年ぶり。

岸田首相はスピーチの中で、日本と中南米のこれまでの交流の道のりに触れた上で「国際秩序は今、新たな挑戦に直面しており、我々が標榜(ひょうぼう)している自由と民主主義は世界中で脅威にさらされている」と指摘し、日本が掲げる「人間の尊厳」が守られる世界のために「中南米はかけがえのないパートナーとなる」と訴えた。

その上で「平和で安定した世界を築くことが不可欠だ」として、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の確保」の重要性を指摘し、「私たちこそが世界を導く覚悟を持たねばならない」と呼びかけた。国連安保理改革についても具体的行動を進める意向を示した。

岸田首相はさらに、気候変動・脱炭素・貧困などの問題にも協力して取り組む意向を示したほか、中国が国際的に批判を受けている途上国への「債務の罠(わな)」にも言及し、「日本は今後も相手国の実情を踏まえ、質の高いインフラ作りをはじめとして、持続可能な経済協力を推進していく。経済的圧力を背景に特定の行動を強いる経済的威圧などは到底認められるものではない」と強調した。

その上で、「日本と中南米が今、共に歩んでいるこの歴史的なパートナーシップの後には新しい道のりができる。それこそが分断と対立の危機に瀕する世界を協調に導く、輝ける道のりとなるだろう」述べ、「私自身、先頭に立って歩んでいく」と締めくくった。

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