一連の事件で、公開の法廷で審理が行われるのは今回が初めてです。

派閥から所属議員側へのキックバックの実態や、その分を政治資金収支報告書に記載しない運用が続けられてきた経緯がどこまで明らかになるのか注目されます。

松本・会計責任者とは

松本・会計責任者は民間企業の出身で、世耕・元経済産業大臣の紹介を経て、2019年2月に安倍派「清和政策研究会」の会計責任者に就任し、事務局長も兼任しました。

安倍派の派閥側としては唯一立件され、2022年8月、当時の派閥幹部が集まって所属議員へのキックバックの取り扱いを協議した会合にも参加していたとされています。

派閥の政治資金事件とは

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件では安倍派、二階派、岸田派の会計責任者や元会計責任者、それに国会議員などあわせて10人が政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で立件され、このうち略式起訴された4人はすでに有罪が確定していて、残る6人については今後、裁判が開かれます。

【派閥側】
安倍派「清和政策研究会」では会計責任者が2022年までの5年間で、パーティー収入などおよそ6億7500万円を派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったほか、支出についても、主に議員側にキックバックした分の6億7600万円あまりを記載しなかったとして在宅起訴されています。

二階派「志帥会」では、元会計責任者が2022年までの5年間でパーティー収入など2億6400万円あまりを記載せず、支出についても1億1600万円あまりを記載しなかったとして在宅起訴されています。

岸田派「宏池政策研究会」では、元会計責任者が2020年までの3年間のパーティー収入など3000万円あまりを記載しなかったとして略式起訴され、すでに有罪が確定しています。

一方、特捜部は安倍派「5人衆」と呼ばれた松野・前官房長官、高木・前国会対策委員長、世耕・元経済産業大臣、萩生田・前政務調査会長、西村・前経済産業大臣、それに、座長を務めた塩谷・元文部科学大臣や、事務総長経験がある下村・元政務調査会長、二階派の会長を務めてきた二階・元幹事長ら派閥の幹部については立件しませんでした。

【議員側】
議員側では、安倍派に所属し、党を除名処分となった池田佳隆 衆議院議員が2022年までの5年間に4800万円あまりのキックバックを受けたにもかかわらず、政治資金収支報告書に寄付として記載しなかったとして、政策秘書とともに逮捕・起訴されました。

同じく安倍派に所属し、自民党を離党した大野泰正 参議院議員と秘書は派閥からキックバックされた5100万円あまりの寄付を記載していなかったとして在宅起訴されました。

また、安倍派に所属し議員辞職した谷川弥一 元衆議院議員と秘書だった娘は派閥からキックバックされた4300万円あまりの寄付を記載していなかったとして略式起訴され、罰金などの略式命令が確定しています。

このほか、二階・元幹事長の秘書が、3500万円あまりのパーティー収入を二階派に納入せず、二階・元幹事長の資金管理団体の収支報告書に派閥側からの収入として記載していなかったとして略式起訴され、罰金などの略式命令が確定しています。

立件された10人のうち6人については今後、裁判が開かれる予定で、10日始まる松本・会計責任者の裁判のほか、6月19日には二階派の元会計責任者の初公判が開かれることになっています。

【リンク】自民提出リスト 安倍派と二階派 国会議員 政治資金問題

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