参院で10日、政治資金規正法改正などを議論する政治改革特別委員会が初めて開かれ、衆院に続いて各党の論戦がスタートした。自民、公明両党は9日に取りまとめた与党案を国会の場で初めて披露。今後の与野党協議に向けて理解を求めたが、抜本改正を目指す野党は対決色を強めている。
「与党と対立しうる論点を中心に意見表明する」
この日の特別委は、各党が10分以内で規正法改正に関する考え方を表明することになっていたが、立憲民主党の小沼巧氏は与党案との違いに時間を割き、対立軸の明確化を図った。
立憲は、政党が議員個人に支出し使途公開が不要な「政策活動費」の禁止を掲げている。小沼氏は議員に使途を報告させ、政党が収支報告書に大まかな使途を記載することを想定した与党案について「踏み込み度合いが中途半端だ。公開という単語でけむに巻こうとするものではないか」と実効性に疑義を呈した。
さらに、発言に先立ち、自民党の磯崎仁彦氏が政策活動費などについて「各党と真摯(しんし)に協議する」と述べたことに触れ、「特別委での自由討議などを提案したい。いかがか」と持ちかけるなど、追及姿勢を緩めなかった。
野党はこれまで、自民が政策活動費やパーティー券購入者の公開基準引き下げなどを巡り具体策を示してこなかった点を批判してきた。一方、9日発表された与党案にはこれらに対する一定の考え方が示された。
公明の里見隆治氏は「自民と協議を重ねる中で最終的に協議の俎上(そじょう)に載せ、取りまとめに至った」と党の成果を強調。「今後、与野党間の協議を進めつつ、国民に納得いただける法改正を必ずや今国会で成し遂げる」と理解を求めた。
だが、与党案には、野党が同様に廃止を求める企業・団体献金についての記載は一切ない。
自民の磯崎氏は「政策立案に対する影響を排除する観点から政治資金の多様性、バランスが必要だ」と指摘。「税を原資とする政党交付金、企業・団体からの寄付金、政治団体が行う事業収入などのバランスをとることが必要だ」と述べ、企業・団体献金の必要性を主張した。
これに対し、共産党の井上哲士氏は「営利を目的とした企業の政治献金は見返りを求めるものであり、本質的に賄賂だ」と反論。「政治のゆがみを正し、国民主権を貫くためにも企業・団体献金を全面禁止することが必要不可欠だ」と語気を強めた。【遠藤修平、園部仁史】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。