自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法の改正を巡り、自民、公明両党は15日、パーティー券購入者の公開基準などを巡って協議したが合意に至らず、自公の協議は事実上決裂した。与党案の共同提出は困難になり、自民が改正案の単独提出に踏み切る公算が大きくなった。自民は党内手続きを経て、17日の国会提出を目指す。
自公は9日に議員本人の責任強化などをまとめた与党案に合意したが、パーティー券購入者の公開基準と、政党が議員個人に支出し使途公開が不要な「政策活動費」については具体案を詰め切れず、協議を続けていた。
15日の実務者協議では、自民がパーティー券購入者の公開基準について現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げる案を提示。通常の寄付と同じ「5万円超」への引き下げを強く主張していた公明に譲歩しなかった。
また、自民は政策活動費について「組織活動費」「選挙関係費」などと大まかな使用目的のみを収支報告書に記載する案を提示。使途の明細を求める公明側との距離は縮まらなかった。
公明の中野洋昌衆院議員は協議後、記者団に「一致しない点があり、この状況では(与党案の)共同提出は難しい」と説明。自民側から「党内手続きを急ぎたい」と自民案の組織決定を優先させる意向を聞かされたとも明かした。
公明は17日まで断続的に自民との協議を続ける意向だが、公明が歩み寄れる余地は少ないとみられる。
自民は16日に党政治刷新本部の会合で、所属議員に自民案を説明。17日に党総務会で了承を得て、同日中に法案を国会に提出する方針だ。
規正法改正を巡っては、岸田文雄首相(自民党総裁)が14日、公明の山口那津男代表と会談し、自民として法案化を進めた上で、公明と協議する意向を伝達していた。【高橋祐貴、野間口陽】
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