自民党安倍派による裏金事件で、1年間の「党員資格の停止」の処分を受けた事務総長経験者の下村博文元文部科学相は15日、岸田文雄首相が行った元派閥会長の森喜朗元首相への聞き取り調査は不十分として「首相は真相解明に努力してもらいたい」などと再聴取が必要との見方を示した。朝日新聞の取材に語った。

 首相は下村氏ら同派幹部については自ら対面で聴取したが、森氏の聴取は電話のみで「具体的な関与は確認できなかった」と説明してきた。

 一方、森氏は、月刊誌「文芸春秋」のインタビュー記事で、「(首相から)『ご体調はいかがですか』とか「強いてお目にかかることはありません」というようなことを言われました」などと証言。首相からは裏金作りに関する具体的な質問はなかったとしている。下村氏は取材に「森氏が『聞いていない』と言っている。首相はきちっと対応するべきだ」と指摘。「本質的な解決に向け、真相究明をしていく必要がある」とも語り、裏金事件の実態解明には森氏への本格聴取が必要との見方を強調した。(森岡航平)

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