被害者団体の代表(右)から水俣病問題をめぐる要請書を受け取る環境省の前田光哉審議官=熊本県水俣市で2024年5月16日午後0時12分、西貴晴撮影

 伊藤信太郎環境相と水俣病患者・被害者の懇談中に環境省職員が被害者側のマイクの音声を切った問題を受け、環境省の前田光哉審議官(56)が16日、熊本県水俣市を訪れ、被害者団体と面談した。懇談に参加した患者・被害者8団体の関係者と17日までに順次会い、再度開催予定の懇談に向けて意見を聞く。

 同省幹部の水俣訪問は問題発覚後初めて。1日の懇談時にマイク音声を切られた山下善寛さん(83)が代表代行を務める「水俣病被害者・支援者連絡会」は、「高齢化する被害者の医療・福祉の充実や、被害実態の解明に向けた住民健康調査などを求める」として同省への要請書を前田審議官に手渡した。

水俣病胎児性患者(右)らの施設を訪れて意見を聞く環境省の前田光哉審議官(左手前)=熊本県水俣市で2024年5月16日午後3時、西貴晴撮影

 面談参加者からは「意見を聞くだけでなく、環境省として水俣病問題をどのように解決したいのか示してほしい」などと意見が出た。前田審議官は「双方向型の懇談を目指す」とし、「意見を持ち帰って大臣に伝える」と答えた。

 前田審議官は2023年10月に国立水俣病総合研究センター(同市)の非常勤の所長に就任。マイク問題を受けて省内に設置した組織の実務責任者として10日付で審議官に就いた。【西貴晴】

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