技能実習に代わる「育成就労」を新設する技能実習法と出入国管理法などの改正案が17日、与党などの賛成多数で衆院法務委員会を通過した。21日の衆院通過を目指す。
法案が成立すれば、1〜2年の就労後に同じ業務分野で職場を変える転籍が可能になる。日本語や技能などの条件を満たすことなども条件となる。これまでは転籍が認められないことから劣悪な労働環境などに耐えられず失踪する事例も相次いだ。
育成就労の期間は3年間とし、より技能レベルの高い「特定技能」に移行しやすくして長期の就労に道を開く。技能実習は国際貢献のための人材育成を目的に据えており、実習後は帰国することが前提となっていた。
試験などの条件を満たせば最長5年就労できる1号、その後に在留資格の更新に制限がない2号になることも可能だ。2号は家族を帯同でき将来は永住権も申請できる。
日本に長期滞在する外国人の増加を見越して永住許可制度も見直す。税や社会保険料の納付を故意に怠った場合は永住許可を取り消すことができる。いまは虚偽の申告などを除き一度下りた許可を取り消す方法がなく納税などを怠る事例があった。
15日の同委員会で岸田文雄首相は「適正に公的義務を履行する大多数の永住者や地域住民との間で不公平感を助長するなどの恐れがある」と述べた。新たな措置に関し「定着性に配慮して慎重に検討する」と語り「(対象は)一部の悪質な場合」に限られると説明した。
出入国在留管理庁は8日、2023年1〜6月に審査を終えた1825件のうち1割強の235件で住民税や国民年金保険料などの未納を確認したと明らかにした。
立憲民主党は「外国人の未納よりも日本人の未納の割合の方が高い。立法事実はない」などと反発していた。与野党は修正協議に臨み、「(永住者の)置かれている状況に十分配慮する」との規定を付則に盛り込んだ。
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