防衛省は20日から「自衛隊統合防災演習」を実施する(写真は石川県七尾市での支援の様子)

防衛省は20日、来春の設置が決まった「統合作戦司令部」が加わる初の演習を実施する。同司令部は陸海空自衛隊の部隊運用を一元的に指揮する。1月の能登半島地震も踏まえ、災害への備えを確認する。

20〜24日に巨大地震が発生したことを想定した「自衛隊統合防災演習」に臨む。統合作戦司令部は10日に設置に必要な改正法が成立したばかり。2025年3月の正式発足を前に仮の司令部と、陸海空自衛隊の各幕僚長と同格でトップを務める「統合作戦司令官」役を置き、演習に加わる。

統合防災演習は1999年度から毎年開いている。今回は東北から北海道沖にまたがる日本海溝・千島海溝沿いでマグニチュード(M)9クラス、震度7の地震と津波が発生したと想定する。

防衛省がある東京・市谷のほか、全国各地の自衛隊基地などで開く。隊員1万2000人ほどが参加する。図上演習の形式で自衛隊の活動や防災関係機関との連携を点検、確認する。

演習には在日米軍とオーストラリア軍も参加し、連携する。統合作戦司令官が在日米軍の指揮権を持つ米インド太平洋軍司令官のカウンターパートとなり、作戦を調整する。

統合作戦司令部を新たに設置する背景には2011年の東日本大震災がある。当時、制服組トップの統合幕僚長に首相官邸との調整、米軍との意思疎通、部隊の指揮といった役割が過度に集中し、部隊運用に専念できないなどの問題が生じた。

今回の演習では、統幕長は防衛相の補佐役となり統合作戦司令官が部隊の運用を指揮する。

政府は22年に決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書で統合作戦司令部の設立の必要性を明記した。大規模災害や東アジアの有事の際に陸海空の自衛隊がより垣根を越えて即時に対応できる体制を整える。

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