衆院予算委員会で、立憲民主党の野田佳彦元首相(手前左)から政治資金に関する質問を受け、答弁する岸田文雄首相(右端)=国会内で2024年5月20日午後1時45分、平田明浩撮影

 岸田文雄首相は20日の衆院予算委員会で、政治資金パーティー裏金事件を受けた自民党の政治資金規正法改正案について、「実効性のある再発防止策、改革案を示せた。今国会で改正を確実に実現していかなければならない」と改めて強調した。一方、野党は政策活動費や企業・団体献金などの扱いに焦点を当て、自民案について「薄っぺらい」などと批判した。

 首相は、現行法では会計処理などについて代表者の責務が具体的に規定されていないとし「会計責任者に任せていたなどの説明が多く問題となった。一掃しなければならない」と言及。自民案は「国会議員の言い逃れを許さない、実効性のある制度になっている」とアピールした。

 政党からの支出が1件あたり50万円を超える場合に議員から大まかな項目別に支出額の報告を受け公開するとした政策活動費についても「透明性向上が図られ、国民の疑念の払拭(ふっしょく)に資する制度になっている」と述べた。

 これに対し、立憲民主党の野田佳彦元首相は、自民案について「一番(まとめるのが)遅い上に、中身が一番薄っぺらい」と酷評。政策活動費に加え、企業・団体献金に関する制度改正が不十分だと指摘した。首相は「企業・団体献金は禁止するものではなくして、透明度を上げるべきだ」などと答弁。パーティー券購入者の公開基準額についても、同党の落合貴之氏が通常の寄付と同じ「5万円超」まで引き下げる必要性を指摘したのに対し、「対価性のない寄付と、対価を徴収して行われる政治資金パーティーは透明性、性格がおのずと違う。同じ額にしなければならない必然性はない」と述べた。

 首相はまた、裏金事件の解明に向けて野党側が求める森喜朗元首相への再聴取について「考えていない」と否定。国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧・文書通信交通滞在費)に関しては「先日、党幹部に残された課題についての議論再開を指示した。指示した以上、議論を突き詰めて結論を出していかなければならない」と述べた。【樋口淳也、野間口陽、池田直】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。