定額減税について岸田文雄首相に質問する辻元清美参院議員

政府が6月から実施する定額減税を巡り、所得税の減税額を給与明細に明記するよう企業に義務づける方針への反発が強まっている。22日の参院予算委員会では、立憲民主党の辻元清美氏が「(選挙対策の)下心ありありだ」と追及したが、岸田文雄首相は正面から答えなかった。(佐藤裕介)

◆「増税の時は増税額を書かせるのか」

定額減税は1人当たり年間で所得税3万円、住民税1万円の計4万円。給与所得者の場合、住民税については6月の支払いがゼロになり、減税分を差し引いた税額を7月から11カ月に分けて納める。 減税額の記載義務づけについては、SNSなどで「選挙向けのアピールでは」「民間企業の事務負担が増える」などの批判が出ている。辻元氏は「増税の時も義務として(増税額を)書かせるのか」と迫ったが、岸田首相は「増税後の税の明細については、明細書に明らかにされるものだ」とはぐらかした。

参院予算委員会で答弁する岸田文雄首相

辻元氏は続いて、公的医療保険料に上乗せして幅広い世代から徴収する「子ども・子育て支援金」の負担金額も明記を義務づけるのかもただしたが、首相は「支援金の導入までに詳細は確定する」と述べるにとどめた。

◆「選挙に照準、恩着せがましすぎる」

辻元氏は「減税はアピール、増税・負担増はステルスということがはっきりした」と岸田首相の政治姿勢を批判。 「(民間企業から)煩雑な事務作業、システム改修が必要になると悲鳴の声が上がっている」と指摘し、「企業などに相当の負担をかけているということは認識しているか」とたたみかけたが、岸田首相は「負担が生じるということは承知しているが、昨年来の年末の税制改正大綱のなかで明記は決定した」などとして、取り合わなかった。

答弁する岸田文雄首相(左)

減税額の給与明細への明記に関しては、手取りの増加を国民に実感してもらうことで、岸田首相が自身に有利な形で衆院解散総選挙や今秋の自民党総裁選に臨む戦略を描いているとの見方がある。 辻元氏は6月にも衆院解散の可能性があると言及し、「わざわざ住民税を6月ゼロにして、選挙対策とも言われている」と指摘。「1回免税しただけで、少々恩着せがましすぎるのではないか」と皮肉った。 

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