子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」創設法案が23日の衆院本会議で、全会一致で可決され、衆院を通過した。法案に盛り込まれた新制度では、憲法が定める職業選択の自由に配慮するとして、犯歴確認の対象となる職種や犯罪は限定される。ただ、子どもを守る観点から法案の実効性を不安視する声は根強く、22日の衆院特別委員会では、法施行後も犯歴確認の範囲拡大を検討するよう求める付帯決議が採択された。

◆家庭教師などに「流れ込む」?

 新制度では、行政監督の仕組みがある学校や保育園には犯歴確認を義務付ける。学習塾や放課後児童クラブなどは、任意の認定制の対象で、認定を受けた場合は同様の義務を負う。個人で習い事などを運営する事業主は、犯歴情報の管理に不安があるなどとして、確認の対象外とされた。

「日本版DBS」創設法案が衆院で可決し、一礼する加藤鮎子こども政策相

 22日の衆院特別委では、立憲民主党の大西健介氏が「フリーランスの家庭教師やベビーシッターは『支配性』『継続性』『閉鎖性』のいずれにおいてもリスクが高い。対象職種に就けなくなった人が流れ込むのは容易に想像がつく」と指摘した。

◆「下着ドロなども対象に含めて」

 加藤鮎子こども政策担当相は「純粋に個人で行っている形態を制度の対象とするのは困難」とした上で、マッチングサイトに登録したベビーシッターについては、仲介事業者を「認可外保育事業者」として認定し、対象に含める方向で検討していると明らかにした。  法案を巡っては、市民団体の代表らが21日、ストーカー規制法違反や下着窃盗を確認の対象に含めるよう、約3万2000人分の署名を加藤氏宛てに提出。加藤氏は22日の衆院特別委で「性的目的で行われたものだけを抜き出すのは難しい」と述べた。具体的な検討は法施行後に持ち越される。  付帯決議には、プライバシー保護の観点から雇用主による犯歴確認を不要とするために、就業者側が(犯歴がないことを)登録する仕組みを検討することも盛り込まれている。(坂田奈央) 

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