宇留賀敬一前副知事の再任案提出の先送りについて記者団に説明する山本一太知事=県庁で2024年5月24日午前9時20分、田所柳子撮影

 群馬県の山本一太知事は24日、宇留賀敬一前副知事(43)の再任案を同日の本会議に提出せず、先送りする考えを記者団に明かした。第2回定例会の会期中の提出を目指す。最大会派の自民党が一貫して慎重な姿勢を示しており、全面対決を避けた形。

 同日朝、自民幹部は「ウルトラCになる。まだまだ波乱は続く」とつぶやいた。その後に開かれた議会運営委員会では、山本氏が当初予定していた副知事再任案の追加提出を見送った。自民県連の井下泰伸幹事長は記者団に「知事を支えるのは変わらない」としつつ、再任案への対応は「議案が出るか出ないかは仮定の話。出たら(対応を)考える」と述べるにとどめた。

 経済産業省出身の宇留賀氏は2019年8月に副知事に就任。県政に注力するとして、今月21日に県を退職。22日、同省に戻った直後に退職し、最短の24日での再任を目指していた。山本氏は24日、先送りの理由について、安孫子哲議長(当時)らから自民との話し合いを求められたと説明。「再任が県と県民のためになると確信しているので(自民に)よく伝えたい」と述べ、6月17日に閉会予定の今議会中に再任案を提出する考えを示した。

 説得した安孫子氏は「県政の混乱を避けたかった。知事は対決より対話で、自民の理解・協力を求めた上で議案を提出してほしい」と指摘した。ただ、野党内でも「副知事再任に賛成するかは決めていない」との声があり、今後の展望は不透明なままだ。【田所柳子、日向梓】

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