河野太郎デジタル相が先月、マイナ保険証が使えない医療機関の「通報」を促した文書を巡り、配布先の自民党内から冷ややかな声が上がっている。マイナ保険証の利用率は向上せず、内閣支持率も低迷する中、党関係者は「支援者への呼びかけなんて今の状況ではとてもできない」と漏らす。
文書では、マイナ保険証の利用率が低迷している要因について、「医療機関の受付での声掛けにあると考えられます」と説明。国会議員の支援者に「マイナ保険証の利用を働きかけて」と呼びかけた上、受け付けできない医療機関があれば、マイナンバー総合窓口に連絡するよう求めた。河野氏は記者会見で、こうした要請について適切かと問われ、問題ないとの認識を示していた。
文書を受け取った党内の受け止め方はさまざま。
ある秘書は呼びかけについて「やらないでしょ」と一蹴。マイナ保険証の利便性の低さを挙げ、自らも「使っていない」とし、「支援者の理解を得られない」と突き放した。複数の党関係者も同様の反応で、別の秘書は「文書を見てすらいない」と素っ気ない。
国会議員の一人は「医療費が高騰する中、医療の効率化は必要。導入には意義がある」と理解を示しつつ、個人情報のひも付け誤りや4月時点で6・56%と低迷する利用率を挙げ、「積極的に使ってと堂々と言える状況かと言われるとそうではない」と心情を明かす。「もっと地道に『こんなメリットがある』と宣伝し、利用率が一定程度上がれば自然と『この病院でも使えるようになってほしい』という声も出てくるのでは」と話した。【松本光樹】
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