【ソウル=三木理恵子】岸田文雄首相は26日、訪問先のソウルで中国の李強(リー・チャン)首相と会談する。日中間の経済協力や自由貿易の重要性を議論する。中国人民解放軍が23〜24日に実施した台湾周辺での軍事演習について「台湾海峡の平和と安定の重要性」を伝える。
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を巡っても協議する。
両氏が会談するのは初めて。日本政府には首相間で日中間の懸案を整理し、習近平(シー・ジンピン)国家主席との年内の首脳会談に結びつける狙いがある。
日中が個々の懸案で対立しても共通利益の追求を優先する「戦略的互恵関係」を推進すると確かめる。岸田首相は中国が大国として責任ある行動をするよう要請する。「建設的かつ安定的な日中関係」の構築へ協力を深めたいと伝達する。
経済面では人的往来の拡大や自由貿易の重要性を擦り合わせる。相互に直接投資を増やすための方策も協議する。中国は米国が訴える対中輸出規制の強化に反発しており、日本に追従しないよう求めている。
岸田首相は李氏に直接、東アジアの安定の重要性を働きかける。中国による東・南シナ海での海洋進出拡大や日本周辺でのロシアとの軍事演習に「懸念」を表明する。中国は台湾問題を譲歩できない「核心的利益」と位置づけており、折り合わない可能性が高い。
福島第1原発の処理水の海洋放出でも主張が異なる。中国は「核汚染水」と呼び続けており、岸田首相は科学的根拠に基づく冷静な対応を求めていく。日本産水産物の禁輸措置の撤廃も促す。
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