自民党の木原誠二幹事長代理(前官房副長官)は26日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、6月から始まる所得税と住民税の定額減税について、経済状況次第で来年以降も継続する可能性に言及した。
木原氏は「この政策(定額減税)は去年決めたもので、足もとの円安はこの1月から進んでいる。そういう意味ではこれだけで全部が良しとまで言うつもりはない」とし、「物価高で苦しんでいる国民の生活を支えていくことを考える必要がある」と強調、6月の定額減税の開始とあわせて政府与党として何らかの物価高対策を打ち出す可能性を示唆した。
同時に「定額減税の目的は官民でしっかりと物価高を越えていく、所得を上げていくことだ。仮に物価状況が改善せず、またデフレに戻る可能性があれば、来年も考えなければならない」と述べた。木原氏は岸田文雄首相の側近で、首相の意向をくんだ発言の可能性がある。
一方、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の拠出限度額引き上げについて、木原氏は「自営業、フリーランスの方々にもしっかり資産形成の機会を持っていただく。私は前向きだ」と表明した。
イデコは、公的年金にプラスして個人で積み立てることができる年金制度のひとつで、自分が出した一定額の掛け金を運用し、実績に応じて60歳以降に受け取る仕組み。掛け金全額が所得控除の対象となるなど、税制優遇で支払う税金を減らせるメリットがある。掛け金の限度額を引き上げれば控除もさらに増えることになる。高齢者を支える現役世代の数が減り、将来の公的年金の給付水準が下がる見通しの中、イデコの拡充で老後の資産形成を後押しする狙いがある。
以下、番組での主なやりとり。
梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
米のほかにも(食材価格が上がっている)。例えば、とんかつ定食では、豚肉、油、ソース、小鉢のニンジン、みそ汁の具の豆腐、オレンジジュース(の価格が上昇)。中でも際立つのがキャベツ。(平年比で)88%も値上がりしている。「食卓インフレ」の終わりが見えない。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
物価高にどういう方策が打てるのか。政府与党関係者によると、6月から始まる定額減税に合わせて物価高対策を打つことを検討していると聞く。メニューとしてどういう物価高対策を考えているのか。
木原誠二氏(前内閣官房副長官・自民党幹事長代理):
まずは定額減税をしっかりやることが非常に大切だ。官民でしっかり所得を支える。賃上げを民にやっていただき、われわれは定額減税をやる。6月は春闘の成果が初めに反映されるし、ボーナスの時期でもあるから、ここにしっかり合わせていく。困っている方々にはすでに10万円の給付金もスタートしているから、まずこういったものをしっかりやっていく。ただ、物価高はそのあと表れてきた面もあるから、政府与党としてできることをしっかりやりたい。
松山キャスター:
何か特定の品目に絞って物価高対策を打つことも検討しているのか。
木原氏:
国民全般に裨益(ひえき)していかなければいけないので、なかなか特定の品目というのは難しいと思うが、物価高で苦しんでいる国民の生活を支えていくことは考える必要がある。
松山キャスター:
物価高やエネルギー価格の高騰などで2人以上の世帯で前年比10万5000円以上の負担増となる。政府の定額減税は1人あたり4万円。これで物価高による負担をカバーできるか。
木原氏:
(4人世帯で16万円の定額減税だから)数字上はカバーできるように見えるが、濃淡があると思う。この政策は去年決めたもので、足もとの円安はこの1月からさらに進んでおり、そういう意味ではこれだけで全部が良し、とまで言うつもりはないが、定額減税は必須だ。
松山キャスター:
去年決めた時点では定額減税は一回だけとするか、その後も続けるのかという議論があった。必要があれば、続けて何回か打つ可能性もあるか。
木原氏:
定額減税の目的は官民でしっかりと物価高を越えていくこと、所得を上げていくことだから、仮に物価の状況が改善せず、なかなか乗り越えていけない(状況となり)、またデフレに戻る可能性があれば、来年も考えなければいけない。
松山キャスター:
再び定額減税(を行うこと)もあるということか。
木原氏:
私は(そう考えるということ)だ。
松山キャスター:
もうひとつ、経済対策として政府与党内で注目されているのが、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」だ。この拠出限度額を引き上げようという動きがあると聞いている。実現の見通しは立っているのか。
木原氏:
これは年末に向けて税制改正の議論になるから、実現の可能性は今後議論することだ。だが、知っての通りNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)を拡充した。イデコも拡充していく、拠出額を増やしていくことが国民の資産形成に寄与していく。私自身は前向きだ。
松山キャスター:
いま月の拠出額は、自営業、フリーランスが6万8000円、(企業年金がない)会社員や専業主婦(夫)が2万3000円などとなっている。これをどれくらいの幅で拡充していくのか。
木原氏:
どれくらいという議論はまさにこれからだ。企業型確定拠出年金の恩恵を受けない自営業、フリーランスの人たちにもしっかり資産形成の機会を持っていただくという意味では、(イデコ拡充に)前向きに取り組むべきだ。規模についてはこれからしっかり議論したい。
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