政治家が自ら代表を務める政党支部に寄付し、税優遇を受ける行為が問題になっています。そもそも、個人が寄付することで税の控除(こうじょ)を受ける「寄付金控除」とはどのような仕組みなのでしょうか。制度を調べてみました。
Q 個人が公益性のある団体に寄付した場合に税優遇を受けられるって聞いたよ。「寄付金控除」ってどんな仕組み?
A 納税者が特定の対象に寄付した場合、所得税の優遇措置を受けられる制度です。寄付額に応じて所得から差し引かれ、納税額が安くなるメリットがあります。社会貢献である寄付を促進する目的で、所得税法や租税特別措置法に定められています。
Q どのような対象に寄付した場合に適用されるの?
A 国や自治体、学校、社会福祉法人、認定NPO法人、政党などです。これらへの寄付は特定寄付金と呼ばれ、控除対象になります。
Q どんな場合でも優遇されるの?
A いえ、学校の入学に関する寄付や、寄付者に特別の利益が及ぶと認められるもの、政治資金規正法に違反するものなどには適用されません。
Q 政党への寄付はさらに有利になる可能性があるの?
A はい。政党等寄付金特別控除制度と呼ばれています。他の寄付金控除と同様に所得控除を受けるか、納税額そのものから差し引く「税額控除」の適用を受けるか、有利な方を選べます。おおむね寄付額の3割程度が控除され、確定申告時に還付(かんぷ)される可能性があります。
Q 政治家が政党へ寄付しても税優遇を受けられるの?
A 寄付金控除の対象外となる「寄付者に特別の利益が及ぶもの」かどうかがポイントになります。政府は過去の国会答弁で、政治家が自己の後援会に対してする寄付や、政治家が相互に相手の後援会に対して寄付しあう場合などを対象外としました。ただ、基準にあいまいな点も残っており、野党には規制強化を求める動きがあります。
回答・田中裕之(政治部)
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