公費による解体や撤去の対象となるのは、輪島市内の「朝市通り」周辺にある、およそ280棟のうち申請があった100棟余りです。

5日の作業は午前8時半すぎから始まり、市から委託を受けた業者が建物の解体に向け、辺りに散乱したがれきを重機で撤去していました。

輪島市朝市組合の冨水長毅組合長は「地震後の景色がなかなか変わらず、私も含めて組合の皆さんも、見るたびにつらい思いをしていました。一日でも早く復活することに期待を寄せています」と話していました。

公費解体をめぐって、国は、建物の「滅失」を登記することで、所有者全員を特定して同意を得なくても、公費解体を申請できるようにしていて、この地域で手続きが完了したということです。

輪島市によりますと、市内では4日の時点で5152棟の申請に対し、121棟の公費解体が完了していて、市は今後、緊急措置としての公費解体も含めて作業を加速していくことにしています。

商店主からは喜ぶ声「ようやく前に進んだ」

5日から輪島市の「朝市通り」周辺で始まった公費解体について、商店主からは「ようやく前に進んだ」と、喜ぶ声が聞かれました。

朝市通りで40年以上、和菓子屋を営んできた塚本民子さん(73)は、5日に公費解体が始まった現場を訪れ、作業の様子を見守りました。

この現場から数十メートル離れたところにあった塚本さんの鉄骨3階建ての自宅と店舗は、元日の地震のあとに起きた大規模な火災で全焼し、建物の骨組みだけが残っています。

今は「朝市通り」近くの仮設住宅で暮らしていますが、地震から5か月が過ぎた今も、店舗があった場所を何度も訪れているといいます。

塚本さんは「さみしさは少しありますが、この5か月間、涙は流すだけ流しました。きょう、ようやく前に進んだなと思うと、うれしいです」と話していました。

また、かつて店舗があった場所で再び営業を再開したいと考えているということで、「輪島が大好きだから、がれきだらけでも、ここに家を建てて復興させます。きょうの解体作業がその始まりです」と話していました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。