元日に発生した能登半島地震で、石川県ではこれまでに281人の死亡が確認され、3人が行方不明となっています。

亡くなった人のうち52人は災害関連死で、先週の審査会で新たに認定の答申が出された人を加えると、能登半島地震の死者は299人となる見通しです。

災害関連死の申請は、すでに認定された人も含めて200人余りに上り、今後も被災後のストレスや疲れから体調を崩すなどして亡くなる人が増加することが懸念されています。

多くの住民が自宅を失い、仮設住宅などでの暮らしを余儀なくされる中、自治体や民間の団体が連携し、見守りや介護サービスの提供といった支援を被災した人たちの状況に合わせてきめ細かく行うことが求められています。

一方、被災地では、公費解体が必要と推計されている2万2000棟の建物のうち、完了したのは900棟余りと4%程度にとどまっています。

また、被害を受けた住宅の修理も業者に依頼が殺到して順番待ちとなっています。

被災者の多くが建て替えや修理ができず、安心して暮らし続けられる住まいを確保できない状況が続いていて、復旧・復興に向けて工事を加速できるかも大きな課題となっています。

人的被害

能登半島地震で、石川県ではこれまでに281人の死亡が確認され3人が行方不明となっています。

死亡が確認されたのは
▽輪島市が130人
▽珠洲市が111人
▽穴水町が20人
▽能登町が9人
▽七尾市が8人
▽志賀町が2人
▽羽咋市が1人です。

この281人のうち52人は、被災後の避難生活によるストレスや疲労などを原因とする災害関連死と認定されています。

また、先週開かれた有識者による3回目の審査会で、新たに18人を認定するよう答申が出されていて、正式に認定されれば能登半島地震の死者は、合わせて299人となる見通しです。

一方、行方不明となっているのは、輪島市の3人です。

けがをした人は1207人となっています。

避難者数

石川県内では、6月25日の時点で、2288人が避難所に身を寄せています。

このうち
▽1次避難所にいる人が970人
▽地元を離れて宿泊施設などに避難している人が1318人です。

自宅に戻ったり仮設住宅に入居したりする人が増え、避難所に身を寄せる人は、この1か月で1000人余り減っています。

住宅被害と公費解体

能登半島地震による石川県内の住宅への被害は、6月25日の時点で8万3980棟に上っています。

このうち
▽全壊がおよそ1割に当たる8053棟
▽半壊がおよそ2割に当たる1万6746棟です。

自治体別では
▽七尾市が1万4999棟
▽輪島市が1万4816棟
▽志賀町が7380棟
▽珠洲市が6843棟などとなっています。

一方、全半壊した建物の解体・撤去を自治体が費用を負担して行う公費解体は、6月24日の時点で2万865棟の申請が出され、県が想定する2万2000棟の9割余りに上っています。

このうち
▽着工は、申請数の12%に当たる2601棟
▽工事の完了は、4%に当たる911棟となっています。

県は、来年10月までに公費解体を完了させる計画で、専門の職員を増員したり、輪島市や珠洲市でまとまった土地の解体・撤去を一度に行ったりして、作業を加速させる方針です。

仮設住宅の整備状況

石川県では、30日までに5006戸の仮設住宅が完成しました。

県が必要と見積もる6810戸の7割を超えています。

完成した仮設住宅は
▽輪島市が2282戸
▽珠洲市が997戸
▽能登町が488戸
▽穴水町が450戸
▽七尾市が433戸などとなっています。

8割に当たるおよそ4000戸に被災者が入居しているということです。

県は8月中に必要なすべての仮設住宅を完成させ、希望する被災者全員に入居してもらいたいとしています。

一方、県によりますと、6月27日の時点で3798世帯・8925人は、県内外のいわゆる「みなし仮設住宅」に入居しています。

能登地方にはもともと賃貸住宅が少ないうえ、建物への被害が大きかったことから、「みなし仮設住宅」に入居するほとんどの被災者が地元から離れた場所での生活を余儀なくされています。

応援職員とボランティア

石川県では、能登半島地震の発生以降、多くの自治体職員やボランティアが支援に当たっています。

県によりますと全国の自治体職員は、延べ11万人が派遣され、避難所の運営や建物の被害調査などに当たりました。

5月以降は、およそ400人がおおむね1年単位で入り、公費解体の申請受け付け、道路・農業施設工事の施工管理、被災した建物の被害認定調査などの対応に当たっているということです。

また、国は1日、省庁横断の「能登創造的復興タスクフォース」を設置し、能登地方の6つの市と町の復興まちづくりを支援することにしています。

一方、県と市や町が募集したボランティアは、6月23日までに延べ12万人余りが被災地で活動しました。

2月以降は、毎週、おおむね4000人から5000人程度が参加しているということです。

支援者の滞在拠点

石川県は、被災地に応援に入る自治体の職員や、ボランティアなどが宿泊できる滞在拠点を整備しています。

このうち、輪島市の能登空港に整備した自治体の職員向けの仮設ホテルは、288室を運用しています。

空港に隣接する日本航空学園の学生寮225室も中長期的な支援者の宿泊先として活用しています。

また、災害ボランティア向けにベースキャンプも運用しています。

日本航空学園の校舎と、穴水町の旧向洋中学校にテントなどを設置し、それぞれおよそ100人が利用できるようにしています。

このほか県は、復旧工事などを担う事業者が滞在拠点を確保できるよう、7月上旬からホームページで宿泊施設の空き室の情報を発信していくことにしています。

宿泊先を確保したい事業者と客の受け入れを再開した宿泊施設のマッチングを促し、復旧・復興の加速と事業者のなりわいの再建を両立させていきたい考えです。

富山県の被害状況

富山県によりますと、能登半島地震では石川県で被災した富山県の3人が亡くなり、県内では50人がけがをしたほか、6月18日までに全半壊1021棟を含む2万0171棟の住宅で被害が確認されました。

自宅が被災して、いわゆる「みなし仮設」の賃貸住宅や、公営住宅で暮らしているのは、6月28日までに622人に上ります。

液状化の被害が出た自治体では地盤調査を行い、対策の工法について、氷見市はことし10月、富山市はことし12月までに、射水市は早くて来年1月に、高岡市は来年3月に住民に示す方針で、滑川市でも今後、地盤調査を行う予定です。

また行政が費用を負担して建物の解体や撤去を行う「公費解体」の対象は、1270棟に上ると見込まれていて、氷見市、高岡市、射水市で始まっているほか、富山市、小矢部市でも今後、実施される予定です。

住宅の被害が最も多かった氷見市では、再来年の秋までに「災害公営住宅」を2か所で、合わせて42戸程度整備する方針です。

液状化の地盤対策には数年程度かかるため、今後は被災した人の住まいの再建や、コミュニティーの維持が課題です。

また、石川県の被災者は富山県内のホテルや公営住宅、高齢者施設などに、少なくとも合わせて92人が滞在していて、引き続き支援が求められます。

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