平成最悪の豪雨災害 平日夕方と重なり「車の移動中に被災」相次ぐ

全国で230人以上が犠牲となり「平成最悪の豪雨災害」となった2018年の西日本豪雨。広島県だけでも150人を超える人が亡くなりました。

平日夕方の帰宅時間帯と豪雨のピークが重なり、車で移動中に巻き込まれるケースも目立ちました。当時、被災地で記録された映像から記録的な大雨に見舞われた広島で何が起こったかを振り返ります。今回は住宅地の何気ない道路が濁流へと変わっていった一部始終です。

道路がまるで濁流に 消防隊の救助活動もままならず

■2018年7月7日 朝
上空からのリポート
「安芸区矢野東の上空です。道路伝いに濁流が流れてきています。今、ご覧いただいているのは川ではなく道路です」

広島市安芸区矢野東地区では、道路の上を大量の水が激しく流れ下っていました。

記者リポート
「消防や警察がたくさん集まっている目の前には団地が広がっていて、土砂崩れなどの被害が確認できるのですが、手前の道路の濁流に阻まれて、救助に向かうことができていない状況です。」

救助隊の活動にも支障をきたすような濁流。まるで川のようになった住宅地の何気ない坂道。その一部始終を記録していたカメラがありました。

記者レポート
「濁流に押し流されたあとの車がまだこのように残っていて、生々しい爪痕が残っていますが、そのときの様子をしっかりと捉えた防犯カメラが住宅についていたカメラです」

短時間で状況は一変 防犯カメラが捉えた一部始終

2018年7月6日 午後7時40分 広島市安芸区矢野

■7月6日 午後7時40分
広島県に大雨特別警報が発表された午後7時40分の時点でも、激しく雨は降っていますが、まだ車は走ることができる状況でした。

しかし、このあと状況は一変します。

2018年7月6日 午後8時09分 広島市安芸区矢野

■7月6日 午後8時9分
道路全体を茶色い水が覆うようになり、午後8時を過ぎた頃には、道路はまるで川のような濁流となっていました。

2018年7月6日 午後8時10分 広島市安芸区矢野

■7月6日 午後8時10分
ここで一台の車が坂道を登っていきますが、20秒後、車はバックで戻ってきました。進むのを諦めたのか、それとも濁流に車が押し戻されているのでしょうか。

さらに水の勢いは激しさを増します。

道路上は茶色い濁流に ブレーキ踏んでいても車は次々流されて

2018年7月6日 午後8時18分 広島市安芸区矢野

■7月6日 午後8時23分
流れてきたのは1台の軽トラック。フロントガラスの内側には「40」という数字。カメラの撮影現場の上流にある自動車販売店から流されてきたのでしょうか。数字は車の販売価格を示すボードのようです。

2018年7月6日 午後8時10分 広島市安芸区矢野

■7月6日 午後8時29分
軽トラックは流されて、人が乗って運転していると思われる乗用車も、ブレーキランプはついていますが、濁流に流されていきます。

2018年7月6日 午後8時32分 広島市安芸区矢野

■7月6日 午後8時32分
そして午後8時半過ぎ、カメラは次々と車が流されていく様子を捉えていました。

濁流の威力 アスファルトはめくれ 地中の管がむき出しに

2018年7月6日 午後8時10分 広島市安芸区矢野

記者リポート
「この道路の先、昔はバスが通っていたという大きな道路なのですが、今は陥没して川のようになっています」

2018年7月6日 午後8時10分 広島市安芸区矢野

カメラが記録していた現場付近で、再び道路の表面が見えてきたのは、翌日の昼前になってからでした。

ただアスファルトは大きく削り取られ、地中に埋まっていた管がむき出しとなっていました。

防犯カメラつけていた住民
「道路が川になったのはたまげた。道路が川になったときには、これは家が流れなければいいなと思った」

1台の防犯カメラが記録し続けた道路を流れる濁流・・・。たとえ水の深さがそれほどでなくても、濁流となった場合のエネルギーの凄さを見せつけています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。