それによりますと、巨大地震の想定震源域にあたる地域では6月以降、目立った地震はありませんでした。
一方、プレート境界付近を震源とする「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震が紀伊半島中部から西部で5月30日から先月2日にかけて、紀伊半島西部で先月15日から18日にかけて、東海で先月17日から24日にかけて、四国中部で先月20日から29日にかけて観測されました。
また、ほぼ同じ時期に周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動が観測されました。
いずれも想定震源域のプレート境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」が原因とみられます。
さらに、四国中部で2019年の春ごろから、静岡県西部から愛知県東部で2022年のはじめごろから、地殻変動が継続的に観測されていますが、それぞれ四国中部周辺と渥美半島周辺のプレート境界の深い場所が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的スロースリップ」が原因とみられるとしています。
これらの現象は繰り返し観測されているということです。
このほか、静岡県の御前崎と和歌山県の潮岬、高知県の室戸岬の周辺では、長期的な沈降の傾向が続いていますが、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込むのに伴う地殻変動で大きな変化はないとしています。
このため、検討会は「大規模な地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられるような特段の変化は観測されていない」とする評価結果をまとめました。
検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「南海トラフでいつ巨大地震が起きても不思議でない状態が続いている。夏に海岸で水遊びをする人もいると思うが、30センチの津波が来れば大人でも動けなくなる。強い揺れを感じたら直ちに高台へ避難することが重要だ」と呼びかけています。
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