今月12日、松山市の松山城がある山で土砂崩れが発生し、ふもとの木造住宅に住む家族3人が巻き込まれて死亡しました。

土砂崩れが起きた「勝山」の樹木の管理などについて、松山市は有識者に諮問して、去年10月「史跡松山城跡樹木管理計画」を策定していました。

それによりますと「勝山」は樹木が生い茂っていて光が地面に届かず、草が生えづらい状況にあるため、雨水が直接、土壌に浸透して土砂崩れが起きやすいと指摘されています。

また、衛星からのレーザー計測で樹木の高さを分析した結果、今回、土砂崩れが起きた山の北側斜面の一部では、高さ30メートル以上の木が多く、特に土砂崩れのリスクが高いとされています。

そのうえで「一定以上の雨が降った場合、表面流が発生し、斜面崩壊が起こりやすい環境で、人命保護の観点から早期に対策に取りかかる必要がある」と指摘されています。

松山市も山の北側斜面の土砂崩れのリスクを認識していて、再来年度から斜面の樹木の伐採などを始める予定だったということです。

松山市は「斜面崩壊のリスクが高い場所だという認識は持っていて、対策の途中だった」としています。

専門家「高い木を放置するとリスク高まる」

森林と災害の関係に詳しい東京大学大学院農学生命科学研究科の蔵治光一郎教授は「背の低い木や草は土壌を雨水から保護して土砂崩れのリスクを軽減させる役割があるが、樹木が生い茂ると光が届かず、草などが生えづらくなる。特に高い木を放置すると枝葉についた雨水が高い場所から落下して、強いエネルギーで土壌を削り取ることにつながりさらにリスクが高まる」と指摘しています。

そのうえで「市が樹木の管理計画を作成していたことは防災の面から評価できる一方で、リスクを多くの人と共有して速やかに対策を進めることができればよかった」としています。

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