今月12日、松山市の松山城がある山で土石流が発生し、山のふもとの住宅に住む親子3人が死亡したほか、複数の建物に大量の土砂が流れ込みました。

この土石流について、京都大学防災研究所の竹林洋史准教授は現場で住民らが撮影した複数の動画や、山の地形のデータなどをもとに土石流の流れ方をシミュレーションし、解析しました。

その結果、土石流の速度は、秒速およそ10メートル、時速に換算するとおよそ36キロで、山の上部で崩れ始めてから住宅地までの到達時間は、およそ25秒だったとみられることが分かりました。

3年前に、静岡県熱海市で起きた大規模な土石流の速度は時速およそ30キロとみられていて、今回の土石流は、それよりも速かったと分析されています。

竹林准教授は「非常に短い時間で住宅まで到達していて、仮に土砂崩れを検知するセンサーで発生が確認できたとしても、避難は難しかったとみられる。早めの避難が必要であるとともに、今回は、土砂災害警戒区域の対象外で土石流が発生していて、今後、区域の設定のあり方も見直しの検討が必要だ」と指摘しています。

現場では断水続く

松山市で発生した土石流が流れ込んだ住宅の隣にあるマンションでは、今月12日から依然として断水が続いていて、住民たちが給水車から水を自宅に持ち帰る姿が見られました。

マンションに住む60代の男性は「20リットルのポリタンク3つに水を入れて持ち帰りました。ライフラインなので、1日でも早く水が使えるよう早急に復旧してもらいたいです。今後、台風の時期も予想されまた、大雨が降るかもしれないと思うと不安です」と話していました。

住民によりますと、このマンションの水道の復旧までには、1か月程度かかるとみられていて、住民らは、銭湯に通ったり、コインランドリーで洗濯したりしているということです。

また、現場では全壊した住宅の撤去が進められていて、乾燥した土砂などが空中に舞い上がっています。

現場近くに住む70代の男性は「土砂を運ぶための大型車両が道路を通るたびに土ぼこりが舞っていて、屋外に洗濯物が干せない。毎日、ホースで水をまいて掃除をしているが追いついていない」と話していました。

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