委員会は、今月12日に松山城がある山で土石流が発生し、ふもとの住宅に住んでいた3人が巻き込まれて死亡したことを受けて設置されました。

愛媛県と松山市の担当者のほか、砂防や地質学の専門家など11人の委員で構成され、29日、初会合が開かれました。

会合では県の担当者が、高さ100メートル、平均幅20メートルにわたっておよそ6000立方メートルの土砂が流れたことや、現場は崩れた谷筋以外からも降った雨が集まりやすい地形だったなどと説明しました。

松山市が委員会に提出した資料では、斜面の頂上にある道路について7年前の時点で擁壁に傾きが確認されたが、軽微なものと判断して経過観察をしていたことや、去年7月には大雨の影響で今回土石流が起きた斜面の一部が崩れ、土のうを積むなどしたことが新たに示されました。

一方、市はいずれも今回の災害を予見できるものではなかったとしています。

このあと委員たちは土石流の現場を視察し、斜面のふもとや頂上付近で地質や崩れ方のほか、周辺の水はけの状態などを確認しました。

委員会は土石流につながった水の動きなどについて調査を進め、今後4回、会合を開催して土砂災害が起きた原因や再発防止策について報告をまとめる予定です。

委員長「年内目標に報告まとめたい」

土石流が発生した斜面頂上の道路で亀裂や擁壁の傾きが確認され、緊急工事が行われていたことについて、検討委員会の委員長を務める愛媛大学工学部の森脇亮教授は「工事そのものが災害に影響したとは思わないが、擁壁が傾いたり道路にひびが入ったりしていたことは、崩れることの前兆として捉えられたのではないか」と述べました。

そのうえで「斜面の形状や特徴はおおかた把握できたが、原因究明は慎重に検討する必要がある。今後はどのような経路で水が流れ、どのように斜面を流動化させるきっかけとなったのか、いろいろな可能性を検討し、年内を目標に報告をまとめたい」と述べました。

国土交通省・国土技術政策総合研究所の鈴木啓介 砂防研究室長は「道路の構造が斜面に影響を及ぼしたのか、斜面全体が動いたことで道路に変化があらわれたのかを明らかにしていく必要がある。広い範囲の水が集まる地形であるとみられるので、現場特有の特徴を浮き彫りにさせたうえで、実効性のある対策を導き出すことが大事だ」と話していました。

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