専門家「帰省や旅行 中止する必要なし 家族と防災対策を」

南海トラフ巨大地震の防災対策を検討するため専門家などでつくる国の作業部会で取りまとめ役を務める、名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、臨時情報の巨大地震注意への対応について、次のように話しています。

名古屋大学 福和伸夫名誉教授
「必要以上に怖がらず、日ごろするべき対策の点検をしていただくための情報だ。むやみな買い占めなど過度な行動は連鎖する可能性がある。情報も錯綜しやすい時代なので冷静にふだんどおりの生活をしつつ、万が一地震が起きても大丈夫なように備える情報だと考えてほしい」

名古屋大学 福和伸夫名誉教授

注意を呼びかける期間と連休やお盆休みが重なっていることについては

「せっかく予定している帰省や旅行を中止する必要はないが、行き先のハザードマップはあらかじめ調べるようお願いしたい。また、帰省先では、ご家族と一緒に防災対策をする絶好のタイミングなので一歩進めてほしい」

《帰省したら》実家で家具固定・耐震診断も

帰省先での防災対策の具体例
▽実家などで寝室の家具が固定されているか家族と一緒に確認
▽建物が古ければ耐震診断を申し込み、耐震化に結びつける

また、帰省先から戻ったあとどのように家族と安否を確認するかも話し合う機会にしてほしいとしています。

名古屋大学 福和伸夫名誉教授
「南海トラフ巨大地震では国民の半数が被災すると考えられ、残念ながら公的な支援は不足する。一人ひとりの備えが望まれるので、社会活動が続けられるためには何が必要か、改めて考えてほしい」

情報をどう受け止めれば?

初めて出された臨時情報をどう受け止め、行動すればよいのか。

災害情報に詳しい東京大学大学院情報学環の関谷直也教授に聞きました。

東京大学大学院情報学環 関谷直也 教授
「南海トラフの臨時情報は予知ではなく、過去の統計上、少なくとも普段よりは数倍、地震が起こる確率が高まっているということだ。ただ、確実に地震がくるという情報ではないので、店を閉めるとか、新幹線を止めるという情報ではない。普段と全く違う対応を取る必要はないが、地震が起こったらどういう対応を取るかを考える情報として受け止めるべきだと思う。少し不安に思うというのは正しい反応だ」

「地震災害があった場合に何が必要なのかを考えて、自分にとって必要なものを準備してもらうということが重要だ」として、次を改めて確認しておく必要があるとしています。

▽水や食料、救急用品や常備薬といった準備
▽家の中の家具が転倒しないようにする備え
▽近くの避難場所
▽通信が遮断された場合の家族間の安否確認の方法など

また、関谷教授は内陸部などでもしっかりと備えをしてほしいと呼びかけています。

東京大学大学院情報学環 関谷直也教授
「南海トラフと言うとどうしても津波の災害と考えがちだが、震度6強や7の揺れが広範囲に襲って、建物の倒壊や火災の可能性さらに津波も来ると想定されている災害だ」

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