災害情報に詳しい東京大学大学院・関谷直也教授の研究チームは、今月8日に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたことを受け、翌9日から11日にかけてインターネット上でアンケートを行い、行動や意識にどのような変化があったか調査しました。
推進地域に指定されている自治体を含む府や県に住む5600人のうち、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を「見聞きした」と答えた人の割合は83%に達しました。
このうち、どのような行動を取ったか複数回答で尋ねたところ、実際に呼びかけられていた▽「水や食料などの備蓄を確認した」が19.7%、▽「家族との連絡方法を確認した」が9.2%、▽「家具の転倒防止を確認した」が8.1%でした。
一方、呼びかけまではされていない▽「旅行・帰省や遊びの予定を変更した」は2.1%で、行動まで変えた人は限られていたことがわかりました。
また、この(巨大地震注意)は必ず巨大地震が発生するという内容の情報ではなく、アンケートでは「住む地域で地震が起こると思ったか」を尋ねました。
その結果、▽「大きな地震が起こると思った」が30%、▽「大きくはないが、地震が起こると思った」が44.8%と、7割以上にのぼりました。
関谷教授は「全体としては冷静な受け止めだ。ただ、おそらくこの臨時情報の意味を捉えきれていない人たちが多く、地震の起こる確率は低いと理解されていけば、呼びかけられた内容の取り組みをしなくなっていく可能性も出てしまう。中身を理解してもらうことが重要だ」と指摘しています。
防災用品 ふだんの8倍ほど売れる
全国でホームセンターを展開する会社によりますと、家具を固定するための突っ張り棒などの防災用品がふだんの8倍ほど売れたということです。
東京・八王子市にあるホームセンターでは、臨時情報が発表された今月8日に多くの客が訪れたため、防災用品をそろえた常設のコーナーに加え、特設のコーナーも用意しました。
店舗には15日も親子連れなどが訪れ、特設コーナーを見て回ったり、実際に商品を手に取ったりしていました。
この店を含め、全国でホームセンター102店舗を展開する新潟県の会社によりますと、臨時情報発表以降の1週間で、家具を固定するための突っ張り棒などの防災用品がふだんの8倍ほど売れたということです。
情報の発表当初は非常食や衛生用品が入るリュックサックやポーチ、携帯トイレなど、緊急時にすぐに持ち運べるものが多く売れ、今週に入ってからは突っ張り棒など自宅で備えるものに需要が移りました。
このほかでは、安くても5万円ほどするポータブル電源がふだんの3倍ほど売れたということです。
また、地域別の傾向では、情報発表の直後は東海地方を中心に防災用品が買い求められましたが、翌9日に、神奈川県で震度5弱の地震が起きると、同じ状況が関東にも広がったということです。
会社によりますと、店舗によっては防災用品が品薄になっているところもあります。
15日、家族4人で来店した40代の男性は「これまではあまり意識していなかったのですが、子どももいるので家具が倒れないようにしようと思ってきました。対策を進めようと思います」と話していました。
「スーパービバホーム八王子多摩美大前店」の福富豪店長は「夏休み期間中で、ご家族で防災について考える機会もあったかと思います。日頃からできる準備を進めていって欲しいです」と話していました。
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