地震のメカニズムに詳しい東北大学の遠田晋次教授は、今月8日に発生した日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が、周辺の断層にどのくらい「ひずみ」を与えて地震が起きやすくなっているか計算しました。

その結果、南海トラフ地震の想定震源域に大きな変化はない一方、日向灘周辺や九州の内陸部にひずみがかかっていることがわかりました。

具体的には、地震が発生した日向灘のうち、宮崎市の沖合周辺や、その南の鹿児島県の大隅半島の沖合、また、内陸部でも宮崎県と鹿児島県の県境にある霧島連山周辺で地震が起きやすくなっていて、日向灘の地震が起きる前と比べ起きやすさは10倍以上となっています。

さらに、震源から離れた場所でも、2016年の熊本地震を起こした布田川断層帯と日奈久断層帯の周辺は、今回の地震の前に比べ、およそ2倍となっています。

遠田教授は「今回の地震をきっかけに南海トラフの動きを示唆する結果はないが、重要なのは、地震は規模や時期、場所を特定した予知はできないということだ。われわれ研究者ができることは、今回の地震で起きた『傾向』を伝えることで、九州は内陸でも地震活動が起きやすくなっていて、直下で地震が起こると非常に大きい揺れが起こるおそれがある。いつ地震が起きてもよいような備えを進めてほしい」と話しています。

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