岩手山の火山活動に詳しい東北大学地震・噴火予知研究観測センターの山本希 准教授によりますと、ことし2月ごろから観測されている山の膨張を示す地殻変動は、火山活動が活発化した1998年5月ごろまでの状況と似ていて、マグマが地表から4.5キロほどの深さまで上昇している可能性があると指摘しています。
また、地殻変動や地震活動のこれまでの観測データから、現時点では市街地に影響を及ぼす噴火を引き起こすような大量のマグマが地下深くに供給されている状況ではないと分析しています。
一方、ことし5月ごろから岩手山に連なる黒倉山付近で火山性地震が増加していますが、地震波の特徴から地下の熱水の活動が活発になっていることを示している可能性があるとしています。
こうしたことから岩手山では、ごく小規模な噴火のほか、火山ガスや熱水などの噴出が発生するおそれがあるとしています。
山本准教授は火山ガスなどの噴出といった現象は、前兆を捉えることが難しいとしたうえで、「大地獄谷」や「黒倉山」周辺は、有毒な火山ガスが出る噴気地帯と登山道が近いため、「登山で噴気地帯などに近づく際は、火山ガスがくぼ地や沢筋などにたまりやすいことも念頭において立入規制を守り登山道から外れないことを心がけてほしい」と呼びかけています。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。