気象庁によりますと、東日本や西日本では太平洋高気圧の縁をまわるように暖かく湿った空気が流れ込んでいるため、大気の状態が非常に不安定になっています。
栃木県では塩谷町付近で、レーダーによる解析で昨夜11時20分までの1時間におよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、災害が発生する危険が迫っていることから、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表しました。
その後も発達した雨雲がかかり続け、26日午前0時27分、栃木県北部で線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」を発表しました。
「線状降水帯」は、発達した積乱雲が次々と連なって大雨をもたらす現象で、気象庁は、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとして、厳重に警戒するとともに、安全を確保するよう呼びかけています。
塩谷町では午前0時までの3時間の雨量が173.5ミリに達し、観測史上最も多くなったほか、県が矢板市に設置した雨量計では午前0時までの1時間に60ミリの非常に激しい雨を観測しました。
また、東海や近畿でも局地的に雨雲が発達していて、午前0時までの1時間に愛知県新城市で31ミリの激しい雨が降りました。
これまでに降った雨で栃木県、静岡県、岩手県では土砂災害の危険性が非常に高くなり、土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
大気の不安定な状態は明け方にかけて続く見込みで局地的に発達した雨雲がかかり続けて大雨となるおそれがあります。
気象庁は、土砂災害や低い土地の浸水に川の氾濫に厳重に警戒するとともに、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうに注意するよう呼びかけています。
自治体の避難情報などに注意して安全な場所で過ごすようにしてください。
各地で浸水の情報相次ぐ
県内で記録的な大雨が観測される中、26日午前0時時点で各地で浸水の情報が寄せられ、自治体の職員などが確認しています。
那須塩原市によりますと、市内の東大和地区の2世帯で床下浸水しているという情報があるということです。
塩谷町によりますと、町内の上平の1世帯で床下浸水しているという情報があるということです。
また、栃木北東地区消防指令センターによりますと、矢板市や大田原市で「床下浸水している」などといった119番通報が数件寄せられているということです。
「顕著な大雨に関する情報」とは
「顕著な大雨に関する情報」は、発達した積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いたり降り続くと予想されたりして土砂災害や洪水の危険性が急激に高まったときに発表されます。
「線状降水帯」は、2020年の7月豪雨や2018年の西日本豪雨など、これまでの豪雨災害で繰り返し確認され、予報を上回って、短い時間で状況が悪化する危険性があります。
この情報が出た際は、自治体からの避難の情報に基づき、周囲の状況を確かめて早めの避難をするほか、すでに避難場所までの移動が危険な場合は、崖や沢から離れた近くの頑丈な建物に移動したり建物の2階以上など浸水しにくい高い場所に移動したりするなど、身の安全を確保することが重要です。
情報が発表される基準は、3時間の解析雨量が100ミリ以上になっている範囲が500平方キロメートル以上あることや、その領域の形状が「線状」であることなどとなっています。
また、実際に発生が確認される前の予測の段階でも発表されます。
情報を待つことなく早めの避難を
注意が必要なのは、この情報が発表された際、すでに外に出ることすら危険になっているおそれもあることです。
気象庁が過去の災害で検証したところ、「顕著な大雨に関する情報」を発表する基準に達していない段階でも大きな被害が出ていた事例があるということです。
また、情報が出ていない地域でも今後、雨雲が移動し、急激に状況が悪化するおそれもあります。
このため気象庁は、避難情報に直結はせず、危機感を高めてもらうための情報だとし、5段階で運用されている大雨警戒レベルでは「レベル4“相当以上”」だとしています。
その上で、情報を待つことなく、気象庁のホームページで確認できる危険度分布や河川の水位情報などをもとに早めの避難を心がけて欲しいと呼びかけています。
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