【台風10号 各地で備え】コメ農家は ホームセンターは【27日】

福岡県岡垣町のコメ農家、筑紫利英さん（73）は440アールの田んぼで「コシヒカリ」や「夢つくし」などを栽培しています。

このうち「夢つくし」については、今週末に稲刈りを行う予定でしたが、台風10号が近づいているため、予定を27日に繰り上げました。

台風による強い風で稲が倒れると収穫量が減るおそれがあるということで、コンバインを使って次々に刈り取っていました。

地元のJAの担当者によりますと、ほかの農家にも稲刈りを早める動きが広がっているということです。

筑紫さんは「無事に収穫できて安心しています」と話していました。

島根県出雲市大社町にあるぶどう園では、農業用ハウスが強風で飛ばないよう、20棟ほどある農業用ハウスを見て回り、ひもをきつく締めて固定したほか、ふだんは換気のために開けられている側面のシートが、きちんと閉まるかどうかを確認していました。

このぶどう園では、7月の大雨でぶどうの木が地面から高さ10センチ余りまで水につかり、少なくとも500万円の被害が出たということで、今回は早めの備えをして被害を最小限に抑えたいとしています。

「大社観光ぶどう園」の伊藤康浩代表は「自然のことなので無事を祈るだけです。台風が過ぎたら、またぶどう狩りを楽しんでほしいです」と話していました。

熊本県宇城市豊野町のしょうが農家 高村清隆さんは、農業用ハウスが骨組みごと飛ばされないよう27日朝から家族とともに骨組みからシートを外す作業を行いました。

高村さんたちは留め具とロープを次々にはずし、およそ1時間半かけて、慎重に作業を進めていました。

長男の充さんは「台風がどのようなコースを進むのかが1番気になります。人の力ではどうにもできないことなので、しょうがが被害にあわないように祈るばかりです」と話していました。

徳島県阿南市の椿泊漁港では、この時期特産のハモの水揚げが盛んに行われています。

台風による高波や強風に備え、これまでにおよそ20隻の漁船を港に避難させロープで岸壁につないで固定したほか、水揚げに使うおけが飛ばされないよう水をためるといった備えを進めています。

また、27日朝は高潮の被害を防ぐため漁業者や消防団員およそ20人が集まり、港の防潮堤の扉を閉める作業を行いました。

地元の40代の漁業者の男性は、「台風の影響でこの1週間は漁を休んでいます。被害を抑えるため対策をとって警戒したい」と話していました。

タイやイカなどの水揚げが盛んな愛媛県八幡浜市の八幡浜港では、台風10号の接近に備えて27日朝、漁業者が波や風に備えようと作業を進めていました。

このうち、底引き網漁を営む浦中洋一さんは魚を入れるカゴなどを強風で飛ばされないように漁船の中に片づけていたほか、船が岸壁にぶつかったり沖に流されたりしないようにロープで岸壁にくくりつけて固定していました。

宇和海の底引き網漁は9月1日から始まりますが、浦中さんは台風10号の接近で漁に影響が出ないか心配だということです。

浦中さんは「今回の台風は勢力も強く、直撃しそうなので心配です。毎年、この時期に来るので仕方ないが、できる限りの備えを進めたい」と話していました。

台風10号の接近に備え、能登半島地震で被災した石川県七尾市の温泉街にある屋台村では、仮設テントが風に飛ばされないよう一時的にたたむ作業が進められました。

七尾市和倉温泉にある屋台村では、地震で被害を受けた7つの店舗が仮設テントやキッチンカーで営業しています。

27日は出店者などおよそ6人が集まり、およそ20張りのテントに取り付けられていた雨どいや電球を取り外すとともに、支柱を縮めて折りたたんでいました。

七尾市は午前中から30度以上の厳しい暑さとなっていて、出店者たちはときおり水分補給や休憩をしながら作業にあたっていました。

中華料理店を出店する板垣道久さんは「台風がいつ通過するか分かりませんが、念のため作業を進めました。営業ができないのは損失なので早く再開したいです」と話していました。