気象庁「鹿児島県に暴風 波浪 高潮の特別警報を発表する可能性」

台風10号の今後の見通しについて気象庁と国土交通省が合同で開いた会見で、気象庁の杉本悟史予報課長は「鹿児島県にきょう昼ごろ暴風、波浪、高潮の特別警報を発表する可能性がある。これまでに経験したことがないような暴風、高波、高潮が予想され、最大級の警戒が必要だ。また、九州南部では記録的な大雨となり、大雨の特別警報を発表する可能性がある。河川の増水や氾濫、土砂災害、低い土地の浸水にも最大級の警戒が必要だ」と呼びかけました。

「暴風が吹き始める前に避難することが重要」

また、気象庁は、「非常に強い台風10号は、29日にかけて九州南部に非常に強い勢力で接近する見込みで、その後、台風は九州に上陸するおそれがある。一部の住宅が倒壊するような猛烈な風が吹く見込みで、暴風が吹き始める前に頑丈な建物の中に移動するとともに屋内では窓から離れてほしい。高潮や洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域などでは、暴風が吹き始める前に避難することが重要だ。特別警報が発表されない場合でも記録的な大雨や暴風、高波、高潮となるおそれがあり、自分の命や大切な人の命を守るため、地元の市町村が発令する避難情報に従って早めに身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。

「警報 実況の経過を見つつ適切なタイミングで発表」

そして気象庁は、「警報や注意報の発表の状況で注目してもらいたいのは、九州南部から奄美の付近になる。すでに暴風や高潮、波浪警報が発表されている。雨に関しても、宮崎県などですでに12時間で100ミリ弱くらい雨が降っている」と述べました。

また、「衛星画像を見ると台風の目がはっきりとしていて、きのうに比べて発達してきた。現在は、九州の南、奄美大島の北東付近をゆっくりとしたスピードで北上している。雨は台風の周辺や九州の東岸で強まっていて、九州南部ではあす午前6時までの24時間に多いところで500ミリ、その後の24時間に600ミリの雨が降ると考えていて、鹿児島県と宮崎県では大雨の特別警報の可能性が出てきた。実況の経過を見つつ適切なタイミングで発表していきたい」と述べました。

「同じ場所で長い時間 大雨となることが考えられる」

気象庁は、「台風はきょう午前3時の時点で、非常に強い勢力で中心気圧が935ヘクトパスカル、最大風速50メートルとなっている。今後、北上していく段階で若干強くなり、中心気圧が925ヘクトパスカルになると予想している。その状態で九州南部に接近し、途中で東に向きを変えて九州に上陸すると予想している」と述べました。

また、気象庁は、「台風の特徴として動きがゆっくりであることが挙げられる。そのため、九州南部や奄美地方は暴風の吹く期間が長く、九州南部ではあさっても一部、暴風になる見込みだ。徐々に台風が北上すると九州南部だけでなく九州北部や四国、中国地方、近畿も影響を受けるようになる。九州北部に接近しても台風の速度は遅い状況で暴風や高波の警報を発表する期間が長引くおそれがある。また、ずっと同じ風向きで暖かく湿った空気が流れ込むため地形の影響などで上昇流が発生し、同じ場所で長い時間、大雨となることが考えられ最大級の警戒が必要になる」と述べました。

国土交通省「早め早めの避難行動を」

台風10号の今後の見通しについて気象庁と国土交通省が合同で開いた会見で、国土交通省は、「河川では現在、ダムの事前放流や水門の閉鎖など、氾濫を防止するための事前対策を進めているが、台風の接近に伴って長期的な大雨や集中的な豪雨が重なると、氾濫の危険性が高まる。早め早めの避難行動をしてほしい。雨や風が強くなったり、暗くなったりしてからの移動は危険を伴うため、早めの避難行動をお願いする。今後、台風の接近が予想される地域の人は、事前の準備が大事だ。今のうちにハザードマップなどの確認をして、停電や断水なども視野に準備を進めてほしい。運休や欠航、道路の通行止めの可能性があり各事業者のウェブサイトなどで最新の情報を確認してほしい。特に、外出の予定がある人は十分な時間的余裕を持った行動をお願いしたい」と呼びかけました。

「事前放流を実施しているダムが全国で51」

国土交通省は、「台風の接近前からすでに各地で大雨となっていてこれまでにまとまった雨が降った地域では河川の流域の土壌が非常に湿った状態となり、ふだんよりも少ない雨で氾濫の危険性が高まる。また、高潮の影響で河口の周辺で潮位が上昇すると氾濫の可能性がより高まるので十分な注意が必要だ。特に、小さな河川では、急激に水位が上昇するため、河川の特性に応じた行動をお願いしたい。川に排水している水路などでも水位が上がって浸水被害が発生する可能性があり注意してほしい」と述べました。

また、国土交通省は、「ダムについては、現在、雨が降り始める前から事前放流を実施している。ダムの洪水調節容量には限度があるので、雨が長時間に及ぶ場合などには流量を抑制できなくなる可能性もあるため、早め早めの避難を検討してほしい。きょう午前5時の時点で、事前放流を実施しているダムが全国で51あるほか、それ以外の76のダムでも事前放流の容量を確保している」と述べました。

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