九州にある台風10号は、この後 東寄りに進み、東海地方に近づくあさって9月1日には熱帯低気圧に変わる見込みです。最盛期を過ぎた台風が変化する2通りの低気圧。何がどう違う?

■台風

 海面水温が高い熱帯の海上で上昇気流が発生し、この気流によって次々と発生した積乱雲が数多くまとまって渦を形成。その渦の中心付近の気圧が下がってさらに発達し、熱帯低気圧になる。そして、風速が17 m/sを超えると台風に。台風は赤道付近の海上で多く発生する。

最盛期の台風(気象庁HPより)

台風は、海面水温が熱帯よりも低い日本付近に来ると海からの水蒸気の供給が減少し、熱帯低気圧や温帯低気圧に変わる。

衰弱期の台風 (気象庁HPより)

最盛期を過ぎると2通りの低気圧へと変わる台風
なぜ?どうして?注意する点は?

台風10号はあさって1日にも「熱帯低気圧」になるとみられている。
最盛期を過ぎた台風は「熱帯低気圧」や「温帯低気圧」へと変化する。どうして?何が違う?変わっても注意が必要?日本気象協会に聞いてみた。

■温帯低気圧化

 台風に北からの相対的に冷たい空気の影響が加わると、円のような対象構造が崩れて寒気と暖気の境界となる前線を伴った温帯低気圧へと変化する。台風が温帯低気圧になったことで再び発達を始めることもある

また、温帯低気圧は一般的に中心付近の風速は台風より小さいものの、台風よりも広い範囲に強い風や雨をもたらすことが多い。台風が温帯低気圧に変われば安心というイメージもあるかもしれないが、ケースバイケースであることは覚えておきたい」

温帯低気圧に変わるのは「秋」の台風が多い。

温帯低気圧化 「気象衛星」と「天気図」で見ると…

<2017年台風21号の事例>

※この段階では典型的な台風の構造(台風の渦の北側の帯状の雲は秋雨前線)

※この段階では、台風の構造が崩れ始めているものの、中心付近の渦は保っている

※温帯低気圧化直前。台風の南側に寒冷前線が形成される。中心の渦巻きの形はほぼ無くなる。

※帯低気圧化。台風の中心から南に寒冷前線が、北東側に温暖前線が延びる。中心の渦巻きの形が無くなり、温帯低気圧の特徴である雲の北縁が大きく北側へと膨れるバルジ(「膨らみ」の意味)状の雲+前線の雲という構造になる。(フック型の構造になることもある) 

■熱帯低気圧化

 今回の台風10号の場合は上空の寒気は北に離れているため、温帯低気圧に変わることはなく、熱帯低気圧になる見込みである。

 熱帯低気圧化とは台風が構造を保ったまま衰弱し、中心付近の最大風速が台風の基準である17m/s未満まで下がることをいう。ただし、台風(熱帯低気圧)の勢力は周辺の降水量など他の要素には依らず、風速のみによって定義されることは覚えておきたい。

 熱帯低気圧に変わった後も強い雨が続くことはあり、台風10号もその可能性は高いといえる。

熱帯低気圧化 「気象衛星」と「天気図」で見ると…

<2015年台風13号の事例>

発達した台風の構造 天気図では台風中心の気圧が低く、衛星画像では台風の眼が明瞭(等圧線を一部省略していることに注意)

※台湾を通過して衰弱 台風中心付近の気圧が上がり、台風の眼が不明瞭になって雲が散り始める

※熱帯低気圧化直前 台風中心の気圧が上がり、発達した雨雲が少なくなる

※中心付近の最大風速が台風の基準(17m/s)を下回り熱帯低気圧化

熱帯低気圧に変わるのは「夏」の台風が多い。

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