専門家でつくる評価検討会は、6日、定例の会合を開き、8月8日に日向灘で発生した地震のあと、南海トラフの想定震源域で観測されたデータを分析しました。
8月24日と31日には、四国沖と日向灘で、それぞれマグニチュード4クラスの地震が発生していますが、地震の規模からプレート境界の状態に特段の変化をもたらすものではないとしています。
また、8月に、プレート境界付近を震源とする「深部低周波地震」と呼ばれる、ごく小規模な地震が、
▽紀伊半島中部から北部
▽東海
▽四国中部と西部で
それぞれ観測されました。
これらの地震とほぼ同じ時期に、周辺の複数の「ひずみ計」で、わずかな地殻変動が観測されています。
いずれも想定震源域のプレート境界が、数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」が原因とみられ、過去、繰り返し観測されているとしています。
さらに、日向灘やその周辺では、地震のあと、プレート境界の比較的浅いところで「浅部超低周波地震」という、ごく小規模な地震が観測されています。
これも、プレート境界がゆっくりずれ動く「スロースリップ」に関係する可能性があり、これまでも観測されていますが、頻度や規模などは、今後も観測や研究が必要だとしています。
こうしたことを踏まえ、検討会は「プレート境界の状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていない」とする評価結果をまとめました。
検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「通常と異なる『ゆっくりすべり』が起きていないかは、慎重に検討した。時間の経過で巨大地震が発生する可能性は、ふだんどおりに戻ったが、大変高い状態が続いていることに変わりなく、備えを進めてほしい」と述べました。
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