死亡7人
行方不明2人
安否不明5人
輪島市の沿岸つなぐ国道 通行再開
約3500戸で停電続く
5000戸余り断水
携帯電話など 石川の一部地域でつながらず
輪島市の小中学校 2日間の休校
林官房長官「必要に応じ予備費も活用」
輪島市久手川町では地区を流れる塚田川が氾濫して住宅4軒が流され、住んでいたとみられる4人と連絡が取れなくなっています。警察によりますと、このうち高齢の男性1人が22日、下流で大量の流木に埋もれているのが見つかり、死亡が確認されました。川の周辺では、24日も自衛隊や警察、それに消防が午前6時半ごろから残る3人の捜索活動を行っています。警察や消防によりますと、24日はおよそ480人態勢で、重機や手作業で倒木やがれきを撤去したり、ドローンを飛ばしたりして、連絡が取れなくなった人たちの手がかりがないか捜していました。捜索は日没ごろまで続けられるということです。
石川県によりますと、県内では7人が死亡し、2人の行方がわからなくなっています。輪島市ではこれまでに6人の死亡が確認されています。警察と消防によりますと、今月21日の土砂崩れで作業員など4人と連絡が取れなくなっていた「中屋トンネル」の周辺では、今月22日、およそ10人が救助されましたが、このうち男性2人が死亡しました。また、今月21日から22日ににかけて高齢の女性2人が土砂が流れ込んだ住宅や田んぼで、男性が川の下流付近でそれぞれ見つかり、いずれも死亡が確認されました。県によりますと、輪島市ではこのほか1人が死亡したということです。珠洲市では、若山町広栗で住宅が山の土砂に巻き込まれて1人が死亡したということです。
県が災害に巻き込まれたおそれがあり、行方がわかっていないとしているのは、能登町で1人、珠洲市で1人のあわせて2人です。自治体や消防によりますと、いずれも川に流されたあと行方がわかっていないということです。
一方、県は行方不明者とは別に、輪島市と珠洲市で連絡が取れず、安否が分かっていないとして、男女あわせて5人の氏名などを公表しています。県は転居などで連絡が取れない人も含まれている可能性があるとしています。この中には、今月21日、輪島市久手川町を流れる塚田川沿いで住宅4棟が流され、連絡が取れなくなっている人も含まれているとみられています。県が連絡が取れず、安否不明者として公表したのは次の方々です。▽喜三翼音さん、輪島市久手川町堂山、女性、14歳。▽前川政二さん、輪島市久手川町古込、男性、80歳。▽井角祐子さん、輪島市久手川町池田、女性、68歳。▽貞廣一枝さん、珠洲市大谷町、女性、79歳。▽中山美紀さん、輪島市町野町寺地、女性、31歳。県は心当たりがある人は危機対策課076-225-1306まで連絡してほしいとしています。
大雨の土砂崩れで通行止めになっていた石川県輪島市の沿岸をつなぐ国道が23日夜、復旧し、市内中心部と東部の南志見地区の間の通行が再開しました。輪島市の中心部と東部の南志見地区を結ぶ国道249号は今回の大雨により複数か所で土砂崩れが発生し通行止めになっていましたが、土砂の撤去を進めたうえ、地震の影響で隆起した海岸沿いに年内に整備を予定していた道路を前倒しして開通することで、23日までに通行できるようになったということです。これにより、南志見地区から中心部への移動にかかる時間が大幅に短縮される見通しで、国土交通省の担当者は「食料の買い出しなどに利用してほしい」と話しています。
ライフラインへの影響です。石川県内では、大雨による土砂崩れで電線が切れるなどして能登地方であわせておよそ3500戸で停電が続いています。午前9時の時点で▽輪島市ではおよそ2400戸▽珠洲市ではおよそ810戸▽能登町ではおよそ290戸▽穴水町では10戸未満が停電しています。北陸電力送配電によりますと倒木や浸水などで道路状況が悪化しているため、ほとんどの地域で復旧の見通しは立っていないということです。
また、23日午後の時点で5000戸余りが断水しています。24日、輪島市では4か所で給水の支援が行われています。▽鵠巣小学校▽「輪島市町野水泳プール」とも呼ばれている「石川県輪島水泳プール」▽河原田公民館では、貯水槽に水が運ばれ蛇口などから水が提供されます。また▽東陽中学校では給水タンクが設置されています。珠洲市では、3か所で給水車による水の提供が行われています。▽高屋集会所では午前中から▽旧本小学校では午後2時ごろからいずれも水がなくなるまで実施予定です。また▽三崎中学校では24時間利用が可能です。珠洲市の給水は1世帯あたり20リットルまでで、市のホームページでも給水が行われている場所や時間を確認できます。
通信への影響です。石川県の一部の地域では徐々に復旧が進んでいますが、現在も携帯電話などがつながらなかったり、つながりにくかったりする状況が続いています。24日午前10時までに影響が確認されているのは、NTTドコモが▽輪島市、▽珠洲市、▽能登町、▽志賀町のそれぞれ一部の地域。KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが▽輪島市、▽珠洲市、▽能登町のそれぞれ一部の地域です。各社によりますと、現地で停電が続いていることや基地局への通信回線が故障していることが主な原因だということです。各社は復旧作業を進めていますが、土砂崩れなどの影響で作業用の車両がたどりつけない基地局もあることから、復旧のめどが立っていない地域もあります。このため輪島市や珠洲市などに移動基地局を設けるなどの対応をしています。またNTT西日本は、輪島市で▽フレッツ光やひかり電話などがおよそ430回線利用できなくなっているほか、▽固定電話がおよそ600回線利用できなくなっています。珠洲市では▽固定電話がおよそ140回線利用できなくなっています。通信ケーブルの故障などが原因で、会社は復旧作業を進めていますがめどはついておらず、該当する地区の公衆電話を無料にするなどの対応をしています。
大雨による被害が広い範囲で出ていることから、石川県輪島市は市内すべての小中学校について24日と25日の2日間の休校を決めました。今回の大雨で、輪島市では川の氾濫や浸水などの被害が広い範囲で出ていて、市の教育委員会によりますと、市内の学校では川の氾濫で1階の床上まで浸水したり、校舎の裏山が崩れたりする被害があったということです。このため、市教育委員会は市内すべての小中学校について、24日と25日の2日間の休校を決めました。輪島市には12の小中学校がありますが、子どもたちはことし1月の地震の被害を受けて4つの学校にある校舎で授業を受けています。このうち、輪島市中心部にある河井小学校のグラウンドにある仮設の校舎では、学校の職員などが今月28日に予定されている運動会の練習をするためにグラウンドに白線を引く作業を行っていました。市教育委員会は「地震に続いて大雨でも被災し、子どもたちは大きな心の傷を受けることになった。1人1人に寄り添い、引き続きケアに努める」としていて、26日以降授業を再開するかどうか、25日午前中に公表したいとしています。
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「輪島市、珠洲市、能登町の56か所で孤立が発生しているため、警察や消防、自衛隊などを中心に安否確認や道路の開通作業、必要な物資の輸送支援などを行っている。引き続き、孤立の解消に向けて全力を尽くしていきたい」と述べました。また記者団から、被害対応のための新たな補正予算を編成する必要性について問われ「まずは既存の地震対応の予算などを活用して必要な対応を行いつつ、地元自治体のニーズをよく把握し、必要に応じて予備費も活用しながら災害対応に万全を期していきたい」と述べました。
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