気象庁は24日、10月から12月にかけての3か月予報と、冬(12月~2025年2月)の寒候期予報を発表しました。それによりますと、10月はまだ全国的に気温が「平年より高い」傾向ですが、11月は北日本が「平年並みか高い」一方で他の地域は「平年並み」、そして12月は全国的に「平年並み」となっています。

上から順に、10月、11月、12月の気温の予報(気象庁HPより)

さらに寒候期予報では、気温は全国的に「平年並み」の傾向となりました。顕著な暖冬だった前の冬とは異なり、冬らしい冬となる可能性が高くなっています。

こうした予報となっている根拠の一つが、ラニーニャ現象です。ラニーニャ現象は南米ペルー沖の太平洋の海面水温が、平年よりも低くなる現象のことで、2023年の春から2024年の春までは、逆に平年よりも高くなるエルニーニョ現象が発生していました。9月10日に気象庁が発表したエルニーニョ監視速報では、「冬にかけて平常の状態が続く可能性もあるが(40%)、ラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)」とされています。

2024年8月の海面水温の平年差の図。南米ペルー沖の緑色楕円で囲んだエリアの海面水温が平年よりもやや低くなっていて、ラニーニャ現象の兆候が現れつつある。(気象庁HPの図を加工)

冬にこのラニーニャ現象が発生すると、日本付近では西高東低の冬型の気圧配置が強まりやすく、大陸から寒気が流れ込みやすいという傾向があります。過去のラニーニャ現象が発生した冬の平均気温のデータを見ると、平年並みか、平年よりも低い事例が多くなっています。

ラニーニャ現象発生時の冬の平均気温が平年に比べどうだったかを示したグラフ(気象庁HPより 統計期間は1948年~2021年)

近年では2020年12月からの冬、2021年12月からの冬、2022年12月からの冬と、3年連続で冬にラニーニャ現象が起きていました。このうち2021年12月からの冬は東日本や西日本を中心に平年より気温が低く、2022年12月からの冬は北日本を中心に平年より気温が低くなりました。宮城県内では2023年1月25日に、強烈な寒気の影響で最高気温が気仙沼で氷点下5.5度など、6か所で観測史上最低となったという出来事もありました。

2023年1月25日の仙台市内。強烈な寒気の影響で正午の気温は氷点下5.0度、最深積雪は10センチを観測した。

こうした傾向からこの冬も寒さが厳しくなる時期があるとみられます。偏西風も日本付近ではやや南に蛇行する予想となっていて、北からの寒気が流れ込みやすくなる予想です。最近、「四季の中で春や秋が短く、『二季』のようになっている」という声をよく聞きますが、2024年後半に関してはまさにそのようになる可能性があります。つい先日まで東日本や西日本を中心に記録的な残暑が続きましたが、冬は思いのほか早くやってくる可能性があります。また、猛暑の直後ということで気がかりなのが、日本海の海面水温が平年よりかなり高くなっているということです。

9月23日現在の日本近海の海面水温の平年差。山陰沖の日本海は平年より5度以上高くなっている所もみられる(気象庁HPより)

海面水温はなかなか急には下がりません。こうした状態で冬を迎えて上空に強い寒気が流れ込んでくると、ふだんの冬以上に暖かい海との温度差で雪雲が大きく発達し、日本海側を中心に雪の量が一気に多くなるおそれがあります。実際に寒候期予報では、冬の間、北~西日本の日本海側の降雪量は「平年並みか多い」予想となっています。「短い秋」の間に雪かき用品の準備など、冬への備えを進めておきましょう。

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