台風21号は発達しながら沖縄方面へ その後本州に接近のおそれも
25日(金)午前に発生した台風21号は、日本の南の海上にあって西へと進んでいます。風速15メートル以上の強風域の範囲が広いため大型の台風となっています。
台風21号はこの後も西寄りへと進み、フィリピンの東海上に達したあとは次第に北寄りへと進路を変える見込みです。発達して風速25メートル以上の暴風域を伴うようになります。30日(水)には強い勢力となって沖縄の南の海上を中心とする予報円に達するとみられます。
日本の南の海上の海水温度をみると、これから台風が進む予想の海域では沖縄の南の海上にかけて30℃前後のエリアが広がっています。また、日本の沿岸では8~9月ころと比べると水温は下がっているものの平年よりは1~2℃高い状況です。
台風が進むエリアの上空の風の環境が発達しやすい状況であれば、海面水温が高いため台風はそれなりに発達するとみられます。
気象庁が台風情報として進路予想を発表しているのは5日先までですが、他の予想データや海外予報機関の進路予想をみると、その後、さらに北東寄りへと進路を変えて、11月に入ったころに本州付近にかなり接近するというデータも多くみられます。
そのあたりも含めて気象庁やアメリカ海軍、またアメリカやヨーロッパの予報機関の予想について詳しくみていきます。
11月に上陸は過去に一度だけ この時期に “異例の”本州接近予想
こちらは気象庁が発表している週間天気予報支援図です。週末以降は本州付近に秋雨前線が停滞や気圧の谷の通過で曇りや雨の日が多くなる予想ですが、月末からと南西諸島の南付近に「L」マークがついています。これが台風21号を示していて次第に北上する予想です。
気象庁は、25日午前発表の週間天気予報の資料解説で
・31⽇から11⽉1⽇は、⾼気圧が沿海州から千島近海へ移動する。前線は本州南岸に停滞し、台風第21号をまわる湿った空気が⻄⽇本中⼼に流れ込む可能性がある。 ・30⽇頃は、台風第21号の動向によっては沖縄・奄美では⼤しけとなるおそれがある。
・29⽇から30⽇に、本州南岸に前線が停滞する予想は各モデルでおおむね揃っているが、31⽇以降は台風第21号の予想のばらつきが⼤きい。
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月5日までの雨・風シミュレーション
アメリカ予報モデル 北上して日本列島に接近する可能性も
アメリカ軍合同台風警報センター(JTWC)
台風21号についての進路予想をみると、大きくは気象庁の予想と同じような傾向となっています。フィリピンの東海上で北寄りへと進路を変えて、また最大風速をみてもだんだんと発達させる予想です。
ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)
また台風21号とは別の雲域について「98W」として黄色の丸で示して監視対象としています。
JTWCでは定めた基準以上に発達する雲のまとまりができると、LOW(黄)→MEDIUM(オレンジ)→HIGH(赤)へとレベル分けして情報を発表します。赤色になると24時間以内に定めた基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性が高いことを示しています。
LOW(黄):監視対象ではあるが、今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性は低い
MEDIUM(オレンジ):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する可能性も高まっているが、発達するには24時間以上かかる見込み
HIGH(赤):今後24時間以内に基準以上の熱帯低気圧に発達する見込み
アメリカ海洋大気庁(NOAA)
アメリカ海洋大気庁の台風21号に関するアンサンブル予報結果です。「アンサンブル予報」は、数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。
フィリピンの東海上はまで西よりへと進んだあと、そのまま西へと進み南シナ海へと向かう予想と、次第に進路を北よりへと変えて日本のすぐ南の海上へと進んでいく予想と、かなりバラツキが大きくなっています。
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月5日までの雨・風シミュレーション
ヨーロッパモデル 本州の南岸にかなり接近の可能性を示唆
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)
ヨーロッパ中期予報センターによるアンサンブル予報結果です。南西諸島の南の海上までは西寄りへと進んだあと、進路を次第に北東寄りへとかえて、日本の南岸に接近する可能性を示しています。
【画像で確認】台風+秋雨前線にも注意 11月5日までの雨・風シミュレーション
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