気象庁によりますと、大型で非常に強い台風21号は30日午後3時にはフィリピンの東の海上にあり、中心の気圧は925ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルに達しています。
中心の気圧は29日午前6時は975ヘクトパスカルでしたが、30日午前6時には930ヘクトパスカル、そして午前9時には925ヘクトパスカルと24時間に45ヘクトパスカルも下がりました。
こうした現象は「急速発達」や「急速強化」と言われ、特に勢力の強い台風にみられる現象とされています。
アメリカのJTWC=米軍合同台風警報センターは一時、「スーパータイフーン」=「スーパー台風」だと解析しました。
気象庁は31日にかけ「猛烈な台風」まで発達して台湾を直撃すると予想していて、沖縄県の宮古島や石垣島など、先島諸島では風が強まるとみられ、特に八重山地方では31日の波の高さは10メートルに達すると予想されています。
気象庁は先島諸島では高波に厳重に警戒するとともに、暴風にも警戒するよう呼びかけています。
台風はその後、東シナ海を北寄りに進み、1日金曜日の夜には温帯低気圧に変わるとみられています。
しかし、前線にむかって暖かく湿った空気を送り込むため金曜日から土曜日にかけて西日本を中心に大雨のおそれがあります。
最新の情報に注意するようにしてください。
専門家「温帯低気圧に変わっても大雨警戒必要」
台風のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所・横浜国立大学の伊藤耕介准教授は台風21号が急速に発達した要因について、通過した付近の海面水温が28度から29度ほどと高いうえ、水深100メートルほどの比較的深いところまで水温が高くなっている、『暖水渦(だんすいうず)』と呼ばれる領域を通過したためだと分析しています。
伊藤准教授は「急発達が起こりやすい時期というのは、一般に7月から11月ごろで、この付近の領域ではまだ起きてもおかしくはない。台湾への影響は大きいとみられ、先島諸島にも高波が到達するおそれがあり、警戒が必要だ」と指摘しています。
また台風はその後、温帯低気圧に変わると予想されていますが、伊藤准教授は大雨への警戒は変わらず必要だと指摘しています。
伊藤准教授は「台風から温帯低気圧に変わると『弱くなった』と捉えられがちだが、台風や台風から変わった低気圧の東側にあたる地域に前線や前線のような構造ができ、大雨になるおそれはあるので十分に警戒をしてほしい」と話しています。
あす先島諸島に接近へ【解説動画】
沖縄 石垣島の市街地や港のターミナルでは
台風21号が接近している沖縄県の石垣島の市街地では30日午前、ときおり雨が降ったり、風が強く吹いたりしていて傘をさして歩く市民や観光客の姿が見られました。
また、石垣港と周辺の離島を結ぶ高速船などは30日は終日、全便の欠航を決めていて、石垣港の離島ターミナルは閑散としていました。
横浜市から夫婦でダイビングに訪れ空港に向かうバスを待っていた女性は「旅行の日程は予定どおり楽しめました。船の欠航の決定や、ホテルでの防風ネットの設置といった対応などが早かったなと感じました」と話していました。
石垣島の漁港では漁業者たちが備えも
また、石垣市真栄里の海岸では30日午前、うねりを伴った波が白いしぶきを上げて打ち寄せる様子が見られました。
登野城漁港では漁業者たちが、陸に揚げた漁船をベルトやロープを使って固定するなど台風への備えを進めていました。
もずくを養殖している池田福剛さん(42)は「この時期には来ないだろうと、たかをくくっていたので、まさか来るとは思いませんでした。進路ははっきりしませんが船は海人にとって命の次に大事なので、対策は万全にしておきたいです」と話していました。
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