COP29は日本時間の11日午後4時すぎ、各国の代表が参加してアゼルバイジャンの首都バクーで始まりました。

会議の冒頭、議長を務めるアゼルバイジャンのババエフ環境天然資源相は「気候変動はすでに始まっている」としたうえで「COP29はすべての人たちにとって新たな道を切り開く瞬間にならなければいけない」と述べ、団結して野心的な合意を達成することが必要だと訴えました。

今回の会議では、先進国が途上国の温暖化対策を支援するための資金について、来年以降の目標とする金額や負担のあり方などをめぐる議論の行方が大きな焦点です。

ただ、温室効果ガスの排出が世界で2番目に多いアメリカの大統領選挙で、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する方針を示してきたトランプ氏が勝利したことで、今後の協力に不透明感も出ています。

会議に出席しているインド洋の島国、コモロの代表団の男性は「忘れてはならないのは、アメリカは温室効果ガスの排出大国だということだ。アメリカなしでは大変なことになる」と話していたほか、フィンランドの代表団の男性は「とても心配だ。アメリカの拠出分の代わりとなる資金が見つかるのかは分からないが、準備を進める必要がある。先進国以外も資金を出す努力が必要だ」として、新興国なども資金を拠出すべきだ訴えました。

会議は今月22日まで開かれる予定です。

世界で「異常気象」相次ぐ

「異常気象」とはその場所にとって30年に一度以下の頻度で起きる現象を指します。

日本のこの夏の暑さは特に7月以降について異常気象とされましたが、世界的にみても異常気象にあたる高温や大雨が相次いで発生しています。

気象庁のウェブサイトや、ベルギーの大学の研究センターが管理する災害のデータベースに基づき、最近の異常気象をまとめました。

【高温】
アメリカでは、ことし9月の平均気温がおよそ130年前の1895年以降、2番目に高くなったほか、ミシガン州デトロイトでは10月30日と31日の平均気温がおよそ21度と、平年のおよそ8度を大幅に上回っています。

【大雨】
大雨災害も相次いでいます。

9月には、一時「スーパー台風」と解析された台風11号や台風から変わった低気圧などの影響で、東南アジアや東アジアで大雨になりました。ミャンマー、ベトナム、タイ、フィリピン、中国などで合わせて900人以上が死亡したと伝えられています。

また、ネパールからイランにかけても大雨による洪水などによって400人以上が死亡したとされています。

さらに、先月下旬は寒気を伴った低気圧や湿った空気の影響で、スペインの東部バレンシア州を中心に記録的な大雨が降り、洪水が発生しました。210人以上が死亡したと伝えられています。

アメリカ 大規模な山火事相次ぎ 330万ヘクタール焼失

相次ぐ大雨の一方、アメリカ東部などでは極端に雨が少なくなっています。

ニューヨークでは9月の末から今月上旬にかけて雨がほとんど観測されていません。

高温も重なり、アメリカなどでは森林火災も起きています。カリフォルニア州では森林火災が6月から7月にかけてと9月、そして今月と相次いで発生しています。

ロイター通信によりますと、西部カリフォルニア州のロサンゼルス近郊では、今月6日に発生した山火事でこれまでに8000ヘクタール以上が焼け、少なくとも132棟の建物が破壊され、一時、1万人以上が避難したということです。

また、東部ニューヨーク州とニュージャージー州の州境でも8日、山火事が発生してこれまでに800ヘクタール以上が焼け、対応していた男性1人が亡くなったということです。

気象学者はこの夏の記録的な高温が乾燥と山火事を誘発しているとしていて、当局によりますとアメリカではことし、山火事が多発し、全米のこれまでの焼失面積は330万ヘクタールと、過去10年の年間の平均の280万ヘクタールよりすでに広範囲に及んでいるということです。

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