ILLUSTRATION BY BSD STUDIO/SHUTTERSTOCK

<「読む・書く・聞く・話す」をサポートする最新テクノロジーを駆使すれば、あなたの英語はここまで進化する>

読む

情報収集が劇的にスピードアップ

英語の論文やニュース記事を読んだり、英語サイトで情報を集める際には、手軽に使えるグーグル翻訳や、流暢な訳文が得られるドイツ発のDeepLなどの機械翻訳が定番。誤訳や訳し漏れもあるため正式な翻訳としてそのまま採用するのは危険だが、大意を理解するには十分な精度に達しており、ウェブサイトやPDFのレイアウトを崩さずに丸ごと訳せるなど使い勝手のいい機能も多い。

一方、全文を訳す代わりにまずは概要だけ把握したいなら、英文テキストの要点を好みの長さにまとめてくれるQuillbotなどの要約ツールを使い、必要に応じて機械翻訳にかけると効率がいい。あるいは、ChatGPTなどの生成AIに英文を入れ、日本語で要約するよう指示する方法もあり。追加のプロンプト(指示)を入力して用語の意味や背景知識について質問すれば、さらに理解が深まる。

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書く

ネイティブ並みの英文を瞬時に書ける

4技能の中でもとりわけAIツールの恩恵を実感しやすいのはライティングの分野かもしれない。この数年、DeepLをはじめとする高性能の機械翻訳によって英文ライティングに要する時間は劇的に短縮され、日本語の原文を入れるだけで、ネイティブさながらの自然で流暢な英文を瞬時に得られるようになった。一方、ChatGPTは翻訳機能に加えて、一からオリジナルの英文を作れるのが強み。例えば「母親を亡くした上司に英語のメールでお悔やみを伝える」といった設定を指示すると、英語文化のコミュニケーションルールにのっとった内容や構成の文案を生成してくれる。

さらに、英文をブラッシュアップする校正サービスの進化も著しい。AI添削ツールGrammarlyやDeepL Writeに英文を入力すると、文法やスペルのチェックはもちろん、より自然な表現や簡潔な言い回し、希望するフォーマルさやストレートさの度合いに応じた表現を何種類も提案してくれる。また、論文執筆をサポートするPaperpal、強力な英文履歴書を作成するKickresumeなど、特定の用途に特化した支援ツールも続々と登場している。ただし、いずれの場合もAIの提案する表現が伝えたい意図に沿っているかを最終的に判断するのは自分自身であり、そのために相応の英語力が不可欠である点には注意が必要だ。

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話す

プレゼンは「吹き替えAI」にお任せ?

つたない英語でも、自分の言葉でコミュニケーションが取れたときの喜びは格別なもの。その思いがある限り、スピーキングの主体が完全にAIに置き換わることはないだろうが、技術的にはポケトークなどの通訳アプリに全面的に任せても意思疎通は十分に可能だ。最近は、会議を丸ごと「同時通訳」してくれるAIサービスも相次いで登場している。

それでも対面のやりとりを機械任せにすることへの抵抗感は根強いかもしれないが、プレゼンテーションや動画配信など事前に原稿を用意できる場面では、AIに「代読」させるのが当たり前になるかもしれない。NaturalReader、音読さん、ElevenLabsといった音声合成AIツールに英文テキストを入力すると、自然な発音で読み上げてくれる。イギリス英語やアメリカ英語、複数の男女の声から好みのものを選べるのはもちろん、なかには自分の声を登録できる機能があるものも。最近は、プレゼン動画に説得力あふれるナレーションを付けたい英語圏のネイティブ話者の間でも、吹き替え版生成サービスの利用が広がりつつある。

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聞く

リアルタイム字幕でリスニング力の不足を補う

YouTubeで英語の動画を見るときに、英語字幕を目で追いながら音声を聞くことで聞き取りやすくなった経験のある人も多いはず。近年、音声を文字に書き起こす音声認識技術の精度はかなり高まっており、リアルタイムのコミュニケーションでもリスニング力の不足を補う助っ人となってくれる。

評価の高いアプリの1つが文字起こしサービスのOtter。英語の音声を極めて高い精度で即座にテキスト化してくれるから、Zoomなどと連動させてオンライン会議で利用すればリスニングの負荷を軽減でき、その分、自分の考えをまとめたり発言したりする余裕が生まれる。AIが文脈を読み取ってテキストに修正を加える、話者を識別するといった機能のおかげで、スクリプト(議事録)としての完成度も高い。