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<今の日本の株高を主導しているのは「海外投資家」。海外投資家とはどんな人・機関なのか。今後はどうなる? 日本の個人投資家はどう対応すればいい?>

日経平均株価は3万円を超え、33年ぶりの高値を更新しました。この株高を主導してきたのは海外(外国人)投資家です。いま海外投資家が日本株を買っている背景と今後の動向を解説しながら、日本の個人投資家はどのように対応すればいいかを考えます。

海外(外国人)投資家とは

日本株を支える「海外(外国人)投資家」とは、外為法上の「非居住者」に該当する個人や企業です。

具体的には、海外に拠点を置く企業や海外に住む個人、日本の証券会社の海外支店や現地法人などが含まれます。外資系証券会社の日本支店や日本法人は「居住者」に該当するため、海外投資家とは見なされません。

海外投資家は、日本株の売買において大きな役割を果たしています。また、日本株の価格を安定させるのに役立っているだけでなく、日本企業に資金を供給することで企業の成長を促進してもいるのです。

海外投資家は日本経済にとって重要な存在であり、今後も、彼ら海外投資家による日本株の買い越しが続くことが期待されています。

海外投資家が日本株に与える影響

海外投資家は日本の株式市場に大きな影響を与えています。ただし、その中には、短期的にマーケットに影響を与える投資家と、長期的にマーケットに指示を与える投資家とがいます。

短期的に市場に影響を与える投資家とは、商品投資顧問(CTA)や超高速トレーダー(HFT)です。彼らはコンピューターを使って株価を分析し、短期売買で利益を得ようとします。そのため、彼らの資金流入によって株価が急騰したり急落したりします。

一方、長期的に市場を方向づけるのは、カントリー・アロケーション(国別配分)を採用する投資家たちです。彼らは世界中の資産や株式に分散投資することでリスクを抑えようとします。そのため、彼らの資金が流入することで、日本株の相場が安定する可能性があるのです。

■日本株売買で際立つ「欧州」の存在感

カントリー・アロケーションを採用している代表的な投資家は、ノルウェーや中東など各国政府系ファンドです。彼らは巨額の資金を運用しているため、日本株に大きな影響を与えます。

海外投資家といえば「北米」、特にアメリカを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は、日本株の売買代金で見ると「欧州」は「北米」の10倍以上、売買シェアは77%と他地域を圧倒しています。

年次データで見ても、「欧州」の存在感は際立っています。「欧州」の売買シェアは、2022年までの10年間で59.4%から74.5%に増加しているのです。

(参考記事)アメリカ株は上がっている? ダウ平均株価を円建てにすると意外な事実が見えてきた


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■いま、欧州勢が日本株に向かう理由

カントリー・アロケーションでは多くの場合、株価指数に連動するパッシブ(受動的)な金融商品に投資しますが、流動性の高い大型個別銘柄に投資することもあります。最近の日本市場における大型株の堅調なパフォーマンスは、欧州勢の投資行動が大きいと考えられます。

もともと欧州の投資家は中国に一定の資金を投じていました。しかし、中国がロシアとともに欧米に対抗する姿勢を示していることや、中国の景気回復が鈍化しているとの見方から、現在では中国への投資に慎重な投資家が多くなっているのです。

一方、欧米に比べれば遅いとはいえ、コロナ禍から立ち直りつつある日本企業への期待は高まっています。そのため、欧州の投資家が中国から日本へシフトしている可能性もあります。

海外投資家の視点で日本株を見る

海外投資家の動向は、日本株の相場を左右する重要な要素です。ただし、短期的な急騰・急落に惑わされず、幅広い視野をもって投資判断を行うことが重要です。

日経平均株価は1990年7月以来、およそ「33年ぶりの高値」を更新しています。しかしながら、ドル建てで見た場合の株価はまだ「1年ぶりの高値圏」にとどまっており、海外投資家の高値警戒感はさほど広がっていない、との見方もあります。

日本では日経平均株価が最も有名な株価指数ですが、海外投資家にとってはドル建ての日経平均株価のほうが重要です。なぜなら、海外投資家は自国通貨建てで日本株に投資するため、ドル建ての日経平均株価のほうが投資判断に役立つからです。

■ドル建てなら日本株はまだ「安い」?

ドル建て日経平均株価は、円建ての日経平均株価(通常の日経平均株価)を、その日の為替レートに置き換えることで算出できます。例えば、円建て日経平均株価が30,000円で、為替レートが1ドル=100円の場合、ドル建て日経平均株価は300ドルです。

●円建て日経平均株価÷為替レート=ドル建て日経平均株価

ドル建て日経平均株価は、円建て日経平均株価と為替レートという2つの要因によって変動します。したがって、円建て日経平均株価が10%下落しても、為替レートが円高方向に20%動けば、ドル建て日経平均株価は約10%上昇します(実際には0.9×1.2なので約8%の上昇)。

6月23日時点のドル建て日経平均株価は228ドル。2021年2月につけた過去最高値の約290ドルに比べると約8割の水準で、いまだ割高感は乏しいと言えます。海外投資家は6月第2週まで12週連続で日本株を買い越していますが、この買い越しがどこまで続くかに注目が集まります。

(参考記事)株価に大きな影響を与える「外国人投資家」とは何者か? その動向を探る

[執筆者]
山下耕太郎(やました・こうたろう)
一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌

※当記事は「かぶまど」の提供記事です

■日経平均株価の推移

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