第79期本因坊決定戦五番勝負第3局を終え、感想戦で対局を振り返る一力遼本因坊(右)と余正麒八段(左)=三重県鳥羽市の戸田家で2024年5月30日午後6時半、兵藤公治撮影

 「思い入れがある」本因坊戦で初の7大タイトル獲得を目指した余八段の悲願達成は、お預けとなった。

 2013年、第69期本因坊戦で初めてリーグ入り。各棋戦で活躍してきたが、優勝やタイトル獲得にはあと一歩届かず、今回が6回目の7大タイトル挑戦だった。関西棋院所属の棋士として62期ぶりの本因坊戦の番勝負への登場で、棋院の期待も背負う形になった。

 深い読みの力に裏付けられた積極的な仕掛けを信条とする余八段は、3局とも粘り強い打ち回しも見せ、「今、日本で一番強い棋士」と認める相手を苦境に追い込む場面をつくった。ただ、高いレベルでの読み比べの中、勝負どころの一着でやや正確性を欠いた。

 第3局の立会を務めた関西棋院の結城聡九段は「余さんも力を見せたが、一力さんの充実ぶりが上回ったと思う」とした上で、6回目の挑戦で7大タイトルを初めて獲得した自身の経験を振り返り「余さんはまだ20代。一つの勝利、タイトル獲得が大きな飛躍につながるはず」と今後に期待を込めた。【最上聡】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。