「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」などのヒット作で知られる漫画家、鳥山明さん(享年68)の元アシスタントでイラストレーターのまつやまたかしさん(66)が、毎日新聞の取材に応じ、Dr.スランプに登場するキャラクターの誕生秘話など鳥山さんとのエピソードを語った。
鳥山さんは3月1日、急性硬膜下血腫で亡くなった。逝去から3カ月となる前の5月中旬、まつやまさんは岐阜県関市にある事務所内で、鳥山さんとの思い出を振り返った。
まつやまさんはDr.スランプの連載が始まって間もない1981年から、ドラゴンボール終盤の94年ごろまでの十数年間、鳥山さんのアシスタントを務めた。まつやまさんによると、共通の趣味の模型や車、映画の話で意気投合し、アシスタントに決まったという。
まつやまさんが勧めたバイクに鳥山さんがはまったことで誕生したのがDr.スランプに登場する「オートバイこぞう」だった。「オートバイカラオリタラシンジャウ病」というバイクから降りると死んでしまう病気にかかり、バイクを止めることができないという変わったキャラクターとして人気を集めた。まつやまさんは「鳥山さんはコミックスの表紙にも大好きなバイクをよく描いていた」と懐かしむ。
仲間内で遊んだトランプで負けると本気で怒ったという鳥山さんは「何にでも真剣で負けず嫌い」。そんな性格が世界的作品を生み出した原動力だったと思う。職場は鳥山さんと、アシスタントがまつやまさん一人という少人数体制だったが、「楽しかった。夢のような毎日だった」と振り返る。
鳥山さんに今、どんな言葉をかけたいか尋ねると、「働き過ぎだったので、ゆっくり休んでほしい。今ごろは一番好きだったプラモデル作りを楽しんでいるのかな」と語った。
サウジアラビア政府は3月、ドラゴンボールのテーマパークを建設すると発表した。まつやまさんは「ディズニーランド以上にヒットするだろう。でも、日本に作ってほしかった。僕はファンとして鳥山明博物館が(日本に)絶対にほしいと思っていた。世界中のファンもそう思っている」と強調した。
鳥山さんの漫画作品を出版する集英社は、鳥山明博物館建設を望むファンの声について「ありがたく思っています」と回答する一方、「現状(建設の)予定はございません」としている。【川瀬慎一朗】
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