日本の民謡がラテンのリズムに乗り、聴く者全ての血肉を沸き立たせる。世界からも愛されるバンド、民謡クルセーダーズがかき鳴らし、歌い続ける日々に5年間密着したドキュメンタリーが、民謡にまつわるあれこれを語る。

 誰か1人が作った曲じゃない。苦しい日々の労働を耐え抜くべく、民の暮らしから生まれた音楽なんだと。その証言ひとつひとつに、血中のDNAが、激しく同意しているように感じる。生きるために必要だったメロディーが一節流れただけで、「あー懐かしい、あー楽しい、あー気持ちいい」と、体の中の何かが喜んでいる。

 民謡は消えたのか? それとも消えるのか? と映画は問う。体が求めるこのメロディーが消えるわけない。そんなことより大変だ。映画が終わっても体の火照りが収まらない。苦しい労働で熱冷ましだ。

(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で8日から

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