建築界のノーベル賞とされる米プリツカー賞を受賞した世界的建築家で、千葉市の幕張メッセや米国の同時多発テロ現場跡地に建設された「4ワールドトレードセンター」、東京の代官山ヒルサイドテラスなどの設計で知られる槙文彦(まき・ふみひこ)さんが6日、老衰のため死去した。95歳。葬儀は近親者で営んだ。お別れの会を後日開く予定。
槙文彦さんは九州にも功績を残した。鹿児島県指宿市の薩摩半島の先端に建てられた岩崎美術館はその一つだ。岩崎育英文化財団によると、南欧の別荘をイメージした建物で、1983年に開館。財団の岩崎芳太郎理事長(70)の祖父、与八郎氏が槙さんに設計を依頼した。コンクリート打ちっぱなしの外壁は模様が出るよう型枠が工夫され、採光にも特徴がある。
岩崎理事長は「南国の指宿らしい建物。槙先生は数年前にも見に来られ、思い入れがあったのではないか」と振り返る。槙さんから「きちんとメンテナンスをすると長く持つ」と助言されたといい、「素晴らしい作品を後世に引き継いでいきたい」と話した。【平川昌範】
建築史家の五十嵐太郎・東北大大学院教授の話
モダニズムのデザインをベースにした、品の良い作風で、街の中にどういうふうに建築が存在しているか、その関係性や文脈を読み込むことを丁寧に行った。時代がたっても古びることのない建築で、1970年代につくった鹿児島県指宿市の岩崎美術館などは今でもかっこいい。人柄も建築と同じく、品が良くジェントルマンだった。
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