AKIRA(左)とZIN=3月11日、浦添市内

 沖縄県西原町出身のR&BシンガーAKIRAと糸満市出身ラッパーのZINからなるユニット「ZIN & AKIRA」が3月8日、ファーストアルバムとなる「Noah」を配信リリースした。4年間でとりためた9曲を収めた今作。R&Bを軸にファンクや沖縄音楽などさまざまな要素を織り込んだ。楽曲に色濃く表れたメッセージテーマは「家族」や「命」。2人とも幼い子どもの親であり、お互いの子どもについて話す中で生まれたメロディーもあるという。(ライター・長濱良起)

ZIN & AKIRAのファーストアルバム「Noah」(提供)

-4年間の活動の中で初のアルバムです。どのような心持ちでしょうか?

ZIN まだリリースしたという実感がないというのが本音です(笑)。 アルバムを出すことをゴールに曲を作ってきたわけではないので、気づいたら曲がたまった感じ。「そろそろアルバム出す?」っていう話になりました。

AKIRA もともとそれぞれ別で活動していて、当初は1曲だけコラボする予定のユニットだったんですよ。でもなんか、楽しくなってきちゃって。

-アルバムタイトルの「Noah」に込めた意味を教えてください。

AKIRA 僕が浦添市内で経営している「カラオケ酒場ぷからっさ」の隣にある理容室「Noah」の店名から取りました。Noahの皆さんが(カット技術などを競う)バーバーイベントを僕の店で開催してくれたり、アーティスト写真撮影時のヘアセットをしてくれたり、普段からお世話になっているんですよ。Noahに何か恩返しをしたい気持ちがあって、そのままタイトルにしました。いろんな楽曲が入り、いろんな人の力でリリースできたという意味で「ノアの箱舟」のイメージとも重なっています。

-ジャケット写真の撮影場所が理容室に見えますが、ここがもしかしてNoahですか?

AKIRA そうです。Noahで飼っている蛇を、洗髪中のZINに近づけて遊んでいる何げない1枚をそのまま採用しました。

-どのようなコンセプトでアルバムを作り上げましたか?

AKIRA 僕たちの曲は、半分ぐらいが家族や命をテーマにしています。僕もZINも、子育てを通して学ばせてもらっていることが多くて、2人で子どもの話をよくしています。4曲目の「愛しい人へ」は、母を亡くした時期に作った楽曲ですが、自分の気持ちをしっかり消化し、前向きな気持ちに切り替えることができた思い入れの強い1曲です。6曲目の「抱きしめる」は、ひとり親世帯の自立を支援する拠点施設「糸満市マザーズスクエアいいまぁる」のPR楽曲として生まれました。

AKIRA(左)とZIN=3月11日、浦添市内

-楽曲制作はどのように進めていますか?

AKIRA メロディーは主に僕で、歌詞は主にZINなんですが、最終的には両方とも一緒に作り上げています。ビートメイカーのNOBB-Dさんに5曲のトラック(ボーカル以外の部分)を作ってもらいました。その他の楽曲トラックは、りこりす、Miyabi "BABY" Horikawa(HEM)といったアーティストや、トラック制作をしているレーベル「Darlle Records」から提供を受けています。1曲目の「intro」は僕がセルフで作りました。

ZIN リリック(ラップ詞)を書く上では、自分の気持ちに対して真実を書くことを心がけています。自分の人生でしか表現できないもの、ということを軸にして、ブレないようにしています。

AKIRA ボーカルレコーディングは、5曲分ぐらい、僕のカラオケ居酒屋に機材を持ち込んでとりました。

-R&Bを軸に、2曲目「Back to the music」のようなファンクな曲から、3曲目の「島風~kasanodan~」のように沖縄音楽を取り入れたヒップホップなど、ZIN & AKIRAのさまざまな顔が見られますね。

AKIRA  「島風~kasanodan~」は、エイサー団体「ONEVEXRYUKYU」(糸満市)に楽曲提供したもので、沖縄テイストが強く出ていると思います。「優しいきもち」は、自然な感じで三線の音色を入れてもらいました。

-名刺となるような初アルバムが出来上がったところで、どのような活動を展開していきたいですか?

ZIN ライブを増やしていきたいというのは2人で常々話しています。

AKIRA 現場に立ちたいです。今また新曲を同時進行で4曲ぐらい作っているので、それも併せて披露できるようにしたいです。

 

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