京都市は9月1日から、世界遺産・二条城の本丸御殿(国重要文化財)の一般公開を再開する。阪神淡路大震災の影響で耐震不足が指摘され、2007年に公開を停止して以降、17年ぶりとなる。松井孝治市長が17日の定例会見で発表した。

 二条城は1603年に徳川家康がつくった。本丸御殿は徳川家光によって1626年に建てられたが、1788年に火災で焼失。幕末に徳川慶喜が仮御殿を建てたが、取り壊された。1884年から天皇家の別荘・離宮として利用されるようになり、現在の本丸御殿は、47年に造られた旧桂宮御殿を、94年に京都御所(上京区)から移築したもの。大正天皇、昭和天皇が宿泊所として利用した。1939年から市が管理し、本丸御殿や二の丸御殿を公開してきた。江戸時代の宮家の御殿で、現存しているものとしては最大規模になるという。

 宮家にふさわしい格式ある建物で、畳を上げると能舞台に変わる部屋もある。内部には狩野派や円山派などの江戸時代に活躍した流派の障壁画が現存している。

 本丸御殿は2006年度まで年2回の公開だったが、阪神淡路大震災で構造にゆがみが生じていることがわかり、公開をやめた。市は17年度から15億6千万円をかけて耐震補強や障壁画の修理に取りかかり、今年3月に工事を終えた。通年での公開は初めてという。

 ゆったりと見てもらうため、観覧は予約制。入室は15人程度ごとで、少人数での見学になるという。

 入場料(一般800円、中高生400円、小学生300円)とは別に観覧料(一般1千円、中高生300円、小学生200円)が必要。チケットの販売は8月2日から二条城のホームページで受け付ける予定。

 一般公開に先立ち、京都市民を対象に内覧会を実施する。期間は8月8~22日の15日間で、定員は計4050人。無料。はがきや専用フォームなどから申し込む。

 松井市長は「本丸御殿は皇室の別邸であった歴史を背景に持つ、優美で繊細な宮家住宅。観覧できるようになったことで、これまでよりも広く二条城の魅力を感じていただけるのではないか」と話した。(武井風花)

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