手作りの飛行機の飛行距離やデザインなどを競う大会で、秋田大学の学生が参加したチームが世界一に輝いた。機体には秋田への思いと魅力がぎゅっと詰まっていた。

5月26日に神戸市の神戸ハーバーランドで開かれたレッドブル・フライトデイ。手作りの飛行機に乗り、飛行距離はもちろん、デザインや飛ぶ姿勢の美しさなどを競う大会だ。

その中に「男鹿のナマハゲ」をイメージした機体があった。

この飛行機を作った秋田市の秋田大学理工学部の学生を中心としたチームが見事優勝。世界チャンピオンに輝いた。

チーム名は「んだんだ」。埼玉出身でリーダーの大和田樹さんが「秋田に来て一番衝撃を受けた」という方言、秋田弁で「同意」を表す「んだ」から名付けられた。

大会で使用された機体はすべてが手作り。大学で学んだ知識を生かし、設計から手がけた。

 リーダー・大和田樹さん(21):
「材料を買い集めるところから始めて、自分の思い描く機体が形になって優勝することができたので、すごく達成感につながった。設計者として一歩進めたかなという実感はある」

機体は幅7メートル。2024年2月に制作を始め、完成までにかかった時間は450時間。大会直前は寝る間を惜しんで作り続けた。努力の結晶といえる機体には、秋田への思いが込められている。

 操縦担当・飯尾陽祐さん(21):
「秋田といえばナマハゲなので、出場するなら秋田をPRしようと思い、ナマハゲで出た」

大会では、地域に根付いた「ナマハゲ」をイメージした点が高く評価された。さらに、メンバーが身に着けた衣装はもちろんナマハゲ風だ。

 谷本健太さん(21):
「ホームセンターでわらに似たものを買ってきて、何本も重ねて衣装を作った。観客に『これ何なの?』と聞かれたときに『秋田のナマハゲだよ』と教えると、『おー』と言ってくれたのでよかった」

実はこのチーム、2022年に手作りの乗り物の技術を競う大会に出場した。ところが、思うような結果を残すことができなかった上に、リーダーの大和田樹さんは指を骨折してしまうアクシデントに見舞われた。

「リベンジを果たしたい」と、強い思いで今回の大会に挑んだ。

ところで、なぜチームが結成されたのだろうか。

 リーダー・大和田樹さん:
「この2人(飯尾さんと谷本さん)の出身が徳島で、同じ高校のつながりで入学してきた。私と彼(飯尾さん)が同じ学生寮で部屋が隣同士。入学式の前、入寮の日に隣の部屋ということであいさつに来てくれて、きっかけはそこから」

偶然のつながりで仲を深めたメンバーたち。「ともに何かを成し遂げたい」「秋田の魅力を世界に発信したい」という思いに突き動かされ、大会にチャレンジすることを決めた。

しかし、出場に至るまでは苦労の連続だった。機体の制作費に加え、神戸まで機体を運ぶ輸送費で約60万円の費用が必要。大会準備を進めながら、時間の許す限りアルバイトに励み、全員で協力して資金を調達した。

努力が実り、学生たちのナマハゲは15.6メートル空を飛んだ。

 谷本健太さん:
「現地では家族や友人のサポートがあって、応援が優勝につながった」

 操縦担当・飯尾陽祐さん:
「前回のリベンジができたということで、次もう一度大会があったらみんなで出たいなと言っている。これからもずっと一緒に出てほしいと思う」

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