梅雨、アスファルトの隙間から顔を出した植物たちが、喜々として雨に打たれ、青々と茂っている。生命力あふれる季節。でも、とても悲しい季節。つい80年ほど前、この大地は梅雨の雨とともに大量のウチナーンチュの血を吸った。そして今、木々や草花同様、この大地の恩恵を受け、私は生きている。

 本作の主人公は、沖縄戦で亡くなった方々のご遺骨を40年掘り続けてこられたガマフヤーの具志堅隆松さん。映画開始とともに旅が始まる。時の流れを逆行するように、土の中へ中へ、奥へ奥へと手を伸ばす隆松さんとの旅。過去を覆い隠すように重なる土を、隆松さんが剥ぎ取る。むき出しになるのは、傷だらけの沖縄。痛かったでしょう。怖かったでしょう。悔しかったでしょう。

 この大地の上で私たちは生きている。(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で22日から

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。