長年にわたって北海道の演劇界を引っ張ってきた斎藤歩さん。
末期がんで「余命半年」の宣告を受けたのは2023年秋です。
斎藤さんの今を追いました。
斎藤歩さん、59歳。
6月22日、次の公演の稽古をスタートさせました。
作品はかつて斎藤さんが脚本、演出を手がけたもので、今回は自分も出演します。
体の異変に気付いたのは3年前。
尿管にがんが見つかりました。
「ご存じのように、末期がんということを言われまして。余命半年。お医者さんは半年ごとに言われてんですよ。『余命半年』ですって」(斎藤 歩さん)
2024年2月、斎藤さんが札幌芸術賞を受賞したことをお祝いするパーティで公表しました。
「痛くなったらちょっとたまらなくなるから、痛み止めは持ってる。きょうは飲まずに済みそう」(斎藤さん)
6月8日、札幌市清田区。
「ああ、いいですよ」(斎藤さん)
翌日の公演の準備。斎藤さんもスタッフにまじって舞台の設営に追われます。
斎藤さんは前の日まで2日連続、昼夜2回の公演をこなしたばかりでした。
そのとき…
「UHBさんに撮られた」(斎藤さん)
清田区での公演はチケットが完売。急きょ、ステージの前に椅子を出すことに
なりました。
芝居は31年前、ハンガリーの戯曲を斎藤さんが脚色した「亀、もしくは…。」。
出演者4人のうち1人が若手に交代しています。
芝居「私は亀だからです。ああ、すっぽん、ああ、すっぽんすっぽんすっぽん」
こんな演技、台本にはありませんでした。
みんなの前で自分をさらけ出す。
斎藤さんが大切にしてきたことです。
札幌、帯広と続いた「亀、もしくは…。」の公演は6月18日、美瑛町で千秋楽を迎えました。
「(Q:控室で着替えないのか?)あまりしないですね、そう言われてみると。テント劇団の出身なんで楽屋っていうものがない劇場でやるのが当たり前だったから」(斎藤さん)
この公演に参加したのは初演のときからのメンバーです。
「ちょっとツアーしてるとだんだん疲れは出てきますけどね。疲れてきたくらいがリキ抜けて良い感じになるんですよね」(俳優 山野 久治さん)
「へろへろです。芝居の中身もよくなってきてるし、年ごとに。最高ですね」(美術 担当 高田 久男さん
「LINEで歩から『クマさん、生きててね』っていうのが来ましたけど。歩さんも生きててねって感じなんですけど。北海道の演劇のためにちょっと頑張りましたんで、みんな」(照明担当 熊倉 英記さん)
お医者さんに禁止されたたばこ。
そして…
「(午前)1時すぎまで。前の日も打ち上げちゃって」(斎藤さん)
この日上川地方は不安定な天候でしたが100人以上の観客が詰めかけました。
■高校の演劇部員「演劇初心者なんでせっかくならこういうのを見て学びたいなというふうに思って来ました」
6月22日、札幌市中央区。
「体調がなんとか終わりまで持ってくれればいいかなと思うんですけどね」(斎藤さん)
6月22日から「西線11条のアリア」の稽古が始まりました。
「死」がテーマのひとつになっています。
公演は7月20日から8日間の予定で公演が終わりしだい、次の抗がん剤治療が始まります。
「実は1か所、12月に十勝の管内で(芝居を)やることが決まりそうで、それが12月だからそれまでは何とか元気でいないといけないですよね」
7月の公演のあとにも次の仕事を見据える斎藤さん。まさに舞台が人生です。
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