佐賀県の吉野ケ里遺跡(吉野ケ里町、神埼市)で昨年見つかった石棺墓について、県は5日、石棺内の土から人や動物の骨の成分であるリン酸を検出したとし、「邪馬台国時代の有力者の墓」との判断を補強する材料になる、などの調査結果を発表した。
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昨年の調査では、石棺墓内から人骨や副葬品は見つかっておらず、土の成分を調べていた。石棺墓は、邪馬台国があったとされる時代とも重なる弥生時代後期に多くみられる形式。埋葬されたとみられる人物の性別調査には至らなかったという。
また、大きな石蓋(いしぶた)3枚から昨年確認された「×」や「キ」などの線刻について、埋葬された人物の頭の部分にあったと見られる別の石1枚にも線刻があったと発表された。4枚は元々一つの石で、割られていることもわかった。墓を作る工程、過程にも儀式が伴っていたのではとみている。
このほか、石棺内部の壁面や石蓋、床面などから見つかった赤色顔料の分析では、ベンガラと、ごく微量の水銀朱が検出された。分析を担当した九州国立博物館保存修復室の志賀智史室長(50)によると、墓に赤色顔料が見られるようになったのは、弥生時代前半からで、北部九州に多くみられるという。
県文化課文化財保護・活用室はこの日、石棺墓が傷むのを防ぐために埋め戻した。(三ツ木勝巳、渕沢貴子)
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